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明日の事はよくわからぬ

2016年8月23日 火曜日 雨

明日の事はよくわからぬ 陶淵明 未知明日事

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諸人共游周家墓柏下  東晉 陶潛

今日天氣佳,
清吹與鳴彈。
感彼柏下人,
安得不爲歡。
清歌散新聲,
綠酒開芳顏。
未知明日事,
余襟良以殫。

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諸人と共に周家の墓の柏の下に游ぶ (訓み下しは碇豊長さんのサイトhttp://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/tao22.htm より引用)
                       
今日  天氣 佳し,
清吹と  鳴彈を 與にし。
彼の  柏下の人に 感じ,
安んぞ 歡びを 爲さざるを 得んや。
清歌  新聲を 散じ,
綠酒  芳顏を 開く。
未だ 明日の事を 知らざるも,
余が 襟(おもひ)  良(まこと)に 以(すで)に 殫(つ)くせり。

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一海知義 漢詩一日一首 平凡社 1976年 p349

以下は一海さんの訓み下し

今日  天氣 佳し
清吹と  鳴彈と
彼の  柏下の人に 感じては
安んぞ 歡(かん)を 爲さざるを 得んや。
清歌に  新聲を 散じ
綠酒に  芳顏を 開く。
未だ知らず 明日の事
余が 襟(むね)は  良(まこと)に 以(すで)に 殫(つ)きたり。

さいごの二句は、淵明流の哲学をうたう。明日の事はよくわからぬのだ。それはそれとして気にはかかる。酒で忘れようというのではない。しかし今日のところは、このピクニックで、胸中にある思いが存分に発散させられて、さっぱりとした。思いのこすことはない。(一海、同書、p351)

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以下、碇豊長さんのサイトより引用
・柏下人:墓に植えてある柏(コノテガシワ。はく)の木の下に葬られている人。死者。陶淵明自身の作である『挽歌詩・其三』で、自分が墓に葬られた時のこととして、「馬爲仰天鳴,風爲自蕭條。幽室一已閉,千年不復朝。千年不復朝,賢達無奈何。向來相送人,各自還其家。親戚或餘悲,他人亦已歌。死去何所道,託體同山阿。」 と詠じている。独りとなって、やがては、山と一体になっていく姿を描き、鬼気迫るものがある。この詩からは作者が死後の世界を想定していないことがわかる。

※余襟良以殫:(あすの出来事は、分からないものの、今)わたしの胸のうちの思いは、まことに、もうすでにつきてしまって(もはや思い残すことは、ない)。 ・余:わたし。 ・襟:胸の思い。胸の裡。心の中。襟懐。胸懐。 ・良:まことに。やや。副詞。 ・以:すでに。≒已。 ・殫:〔たん;dan1○〕つきる。なくなる。尽くす。なくす。

<以上、引用終わり> http://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/tao22.htm

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