literature & arts

Jane Austen の自由間接話法

2017年2月14日 火曜日 雪

島﨑はつよ ジェイン・オースティンの語りの技法を読み解く 開文社出版 2008年(オリジナルは、博士論文2004年「Jane Austen の<話法>を読み解くーーー自由間接話法、仮定法、助動詞を中心にーーー」)

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Jane Austen (1775-1817) は、小説に「自由間接話法」を意図的に取り入れた、最初のイギリス作家だと言われる。・・・(中略)・・・全知の語り手が持つ、作品世界を見通す安定した声色と、一人称で綴られる個々の登場人物の主観的な声色の、中間的な声色を響かせる「自由間接話法」を新たな技法として取り入れたのである。 「自由間接話法」は、叙述を、「語り手の叙述」から「登場人物の声色を含む叙述」へと移行する際に、これを円滑に運ぶ。(島﨑、同書、p1)

「読者を作品世界に引き込むため、作者が誰(=全知の語り手や登場人物)にどの話法で語らせているか」という、「語り」の構造を解明することが本書の目的である。(同、p4)

作品の「語り」を、内容や歴史的背景などに基づいて文学的見地から批評することと、言語学的、文体論的手法を用いて語彙や文法、話法などを検証して読み解くことは、いずれも作品の豊潤さを味わうことに他ならない。(同、p5)

補註 自由間接話法 Free Indirect Discourse

文体論 詩と小説の言語学的側面をさまざまに分析する
ナラトロジー 物語における「語り方」を解き明かす。小説などの物語における語り手と読者の関係の解明に、その目的を限定している。(同、p13)

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