2025年6月22日 日曜日 雨(午後には止む予報)
モーム著 行方昭夫訳 サミング・アップ 岩波文庫 32-254-10(2007年刊;原著は1938年)
・・芸術の価値は、・・どんな効果があるかにかかっている。単に楽しみを与えるというのであれば、どれほど精神的な楽しみであっても、あまり価値はない。せいぜい一ダースの牡蠣と一パイントのモンラシェ酒くらいの価値しかない。もし美が癒し効果を持つなら、それはそれで結構。世の中は回避できない悪ばかりだから、人がひと休み出来る避難所みたいなものがあれば有難い。ただし、悪から逃れるのではなく、休んでから力を盛り返して悪と対決しなくてはならない。というのは、芸術が人生における大きな価値の一つであるのなら、人間に謙虚、寛容、英知、雅量を教えるべきなのだ。芸術の価値は美でなく正しい行為である。(モーム、同訳書、p346-7)
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