agriculture

「美しい森づくり」の効用

2019年12月28日 土曜日 雪

田中淳夫 森と日本人の1500年 平凡社新書 2014年

・・森づくりは、遠い将来の木材需要の予測ではなく、大きく育った森の姿を想像して行いたい。それは美しい森、豊かな生態系を保つ森づくりに邁進するということだ。気象害、病虫害、獣害・・あるいは材価の暴落などに対応するリスクマネージメントを考えて、多様な樹種樹齢の木を育てることも大切だろう。

 そして育った木材の使い道は、収穫する時代の人々に任せよう。

 建築一つとっても、時代とともに構法や様式は変わる。加工技術も年々進歩する。今では曲がった木を真っ直ぐに伸ばすことも、細かな木片を板にすることもできる。技術が木材利用を変える。だから森づくりは、木材ではなく景観を考えて行うべきである。

 必要なのは、誇りの持てる森をつくり維持することだ。そして都市の住民も森に関心を持ち続けることだ。川下の人々の思いと川上の人々の思いが十分に連携したとき、初めて美しい森はもっとも収益を上げるだろう。(田中、同書、p229-230)

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