literature & arts

あなたがあびせかけるもろもろの非難にたいするわたしの最良の釈明は、あなた自身だ!

2019年12月7日 土曜日 晴れ

ドストエフスキー 白痴1 亀山郁夫訳 2015年(原書は1868年)

・・プチーツィンが言った。「侮辱を受けた者が、侮辱した相手のところに出かけていって、『貴公はは拙者を侮辱した、その腹いせに拙者は貴公の目前にて腹を切る』とか言うんだそうですよ。で、そう言い訳しながら、じっさいに相手の前で腹を切ってみせるんですが、それでじっさいに仇討ちができたような気になり、たいそうな満足感を覚えるらしいんです。・・」(亀山訳、同書、p438)

「・・わたしはね、さっきあのソドムめいた場所にいて、もしもゆるされるのだったら、彼女にこう叫んでやりたかったくらいです。つまり、あなたがあびせかけるもろもろの非難にたいするわたしの最良の釈明は、あなた自身だ、って。いえ、どうかすると、理性といいますか・・そう、何もかも忘れてしまうくらい、あの女の虜にならない男なんていません、だれひとり!・・」  トーツキーは深々とため息をついた。(亀山訳、同書、p438-439)

**

*****

********************************************

RELATED POST