2022年1月5日 水曜日 午後、雪かなり強く降る
神野正史 粛清で読み解く世界史 辰巳出版 2018年
農耕民の価値観・行動様式(エートス)は遊牧民のそれとはまったく違います。
・・彼らにとって資源とは「育むもの」であって「喰い尽くすもの」ではありません。
したがって、自ら「額に汗して働く」ことは“美徳”であり、人が汗水流して生産したものを掠奪することは“悪”という価値観が生まれます。
労働を「奴隷の仕事」として蔑み、掠奪を「正当な経済活動」と言って憚らない遊牧民とはまったく対極の価値体系を持っているのです。
さらに、農業は一斉労働が必要になってきますから、個々人が勝手な行動を取ることは許されず、「和」を重んずる気風が生まれます。
農耕で生きていくためには自然に逆らっては生きていけませんから、こうした「和」を重んずる気風は人間関係だけでなく、自然に対しても「調和」を重んずる文化が生まれます。
また、一斉労働のためには、・・専制君主が生まれます。
このように、遊牧民と農耕民はその生活様式(ライフスタイル)も行動様式(エートス)も政治思想も隔絶して違います。(神野、同書、p292)
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