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虫好きのための「虫学」入門書

2016年10月17日 月曜日 曇り

青木淳一 むし学 東海大学出版会 2011年

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虫好きのための「虫学」入門書 虫との付き合いを語る7つのお話し

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都市の虫
不思議なことに、都市へ好き好んで入りこんでくる虫たちもいる。それを私なりに分類してみると、残存種、廃棄物依存種、南方種、外来種、断崖種の五つのグループに分けられると思う。

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家の中の虫
この地球上で、一種の生物もいない場所と多くの生物が一緒に暮らしている場所はいくらでもあるが、一種の生物だけが生息している場所というのは、あり得ない。であるから、人家の中にいろいろな虫がいるのは自然なことと理解し、ただそれが増えすぎてヒトに迷惑をかけないよう、制御すればいいのである。(青木、同書、p57-58)

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害虫・益虫・ただの虫
私はこの「ただの虫:という表現がとても気に入っている。しかし、この「ただの虫」もよく調べてみると、人間にとって直接の害益はないものの、自然界、つまり生態系の中で大変重要な働きをしてくれているものが多いことに気づく。私たちは、この「ただの虫」に感謝しなければならない。(青木、同書、p65)

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子供の虫採り
「採集」という心ときめく行為を通じてこそ、子供たちは自然の面白さ、大切さを頭ではなく心で学んでいく。こんな楽しいことを禁じられてなるものか。(青木、同書、p101)・・・(中略)・・・ 子供は自分の手で捕まえなければ、面白くない。・・私は腹にすえかねて読売新聞に「子供の虫採り禁止するな」という表題で投書した。・・・(中略)・・・ 誤解を恐れずにあえていわせてもらうと、自然保護(ただし、一部のヒステリックな自然保護)、動物愛護、生命尊重の三つのことが子供たちを自然から遠ざけ、本当に自然が大好きな子供たちを育てるうえで大きな障害になっていることに大人たちは気付いていない。・・・(中略)・・・ 子供の虫採りは、いろいろな面で子供の心身の発達に欠かせない要素を持っている。以下略  (青木、同書、p102-103)

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補注 青木さんの「虫学」入門書、文章・文体が明瞭で理解しやすい。非常に好感が持てる。

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