菜園日誌

日本でのワイン用ブドウ栽培の課題(2)

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畑の問題:

美味しいブドウを作る上で、どんな畑が良い畑か? 農家として一番の重視点は、畑の「水捌け」です。傾斜地にブドウ畑を作るのも、この水捌けを確保するためです。けれど、傾斜地だからといって水捌けがよいとばかりはいえません。本場ボルドーでも暗渠・明渠で水捌け改善を行っているとのことです。私の畑は比較的水捌けが良く、根が深く入り得る良い土質の畑なのですが、畑の一部に水捌けの比較的悪い場所があってその部分に植えたブドウは4年経っても成長が悪くカビの病気が多発します。暗渠・明渠で水捌け改善すればよいのはわかっていますが、そのための経費は莫大な額となります。なので、小さな規模の農家には現実的に不可能です。そこで私が考えているのが、ブドウの台木の選択です。ブドウの苗木は通常、根アブラムシ耐性アメリカ種のブドウ台木に、ワイン醸造用ヨーロッパ種のブドウ穂木を接ぎ木して作成します。この台木には、乾燥に強いもの、湿土壌を好むもの、寒さに強いもの、実の成熟を早めるものなどなど、いろいろな特徴が知られております。日本の苗屋さんでは主に、挿し木発根しやすく穂木の成長の良いテレキ5BBという台木品種が用いられており、私の畑のブドウも主に5BB台木です。しかし、上に述べましたように、私の畑で水捌けの悪いところでのブドウの生育は思わしくありません。その理由として私はこの5BB台木の性質もあるのではないかと考えております。そこで、これから他のいろいろな台木を使ってブドウ接ぎ木苗を作り、私の畑に合った良いものがないか探索してみたいと計画しております。湿度が高く雨の多い日本の気候では、水捌けの悪い畑でブドウ栽培をするのは非常に困難ですが、もしも良い台木とワイン用ブドウ品種の組み合わせが見つかれば、栽培できる畑の可能性も広がり、また、より高い品質のワインを醸造できるようになると思います。日本は南北に長く山脈が走っているため気候も変化に富み、土質も地域あるいは個々の畑でさまざまですので、どんな台木品種・どんなワイン用ブドウ品種が良いかという点に関しては、これから多くの実験的試みを行い、多くの知見を持ち寄って科学的論理的に考えていくことが、子孫の世代に良いものを伝えていくために必要ではないかと考えております。

私の畑で、2015年秋、長い大きな穴を深くまで掘って土壌の状況を調べてみた。ブドウの根は深く入っていきそうな良好な土壌。しかし、一部には地下水位が高く、水が噴き出してくる場所があった。そこは、もちろん、水捌けが悪く、雨の後で踏み込むと膝まで泥に潜り込むほどだった。(後に暗渠設置して対処した。)

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