literature & arts

おまえがその人だったとしたら、どうだ、悲しくも辛くもねえか、平気で一生みていられるか。

2021年3月11日 木曜日 晴れ

山本周五郎 おごそかな渇き 新潮文庫 昭和46年

・・おまえはしあわせだろう。けれどもそれじゃあ奥方になって来る方が気の毒じゃあないか、お大名育ちだって人の心には変わりはない筈だ。・・お紋、おまえがその人だったとしたら、どうだ、悲しくも辛くもねえか、平気で一生みていられるか」・・「老いぼれてもおらあ江戸っ子だ、そんなむごい、不人情なことに眼をつむる訳にはいかねえ、人に泣きをみせてまで、自分の孫を仕合わせにしたかあねえ、・・」・・・(中略)・・・「お祖父さんの孫じゃないの」お紋は眼をかえして老人を見、片頬にえくぼをよらせながら云った、「・・あたしだって江戸っ子だわ」(山本、野分、同書、p101)

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