稲畑・監修 劉・編 趙・秦・著 後藤・訳 中国文明史図説1 先史 文明への胎動 創元社 2006年(オリジナルは2001年 商務印書館(香港)有限公司・刊)
父系氏族の形成:約4000年前の新石器時代後期
母系氏族共同体の後期から、生産力が高まり、鋤耕(じょこう)農耕が発達し、犁耕(りこう)農耕へ移行する場合もありました。漁撈と採集による生産は補助的なものとなり、男性の労働力は漁撈から農耕へと移ってこれが社会の生産の主力となります。・・・(中略)・・・女性は生産活動ではしだいに二次的な地位へと追いやられていきます。このような地位の転化は、母系制から父系制へ取って代わるきっかけとなります。この二つの制度の交替は人類史でももっとも激しい変革の一つです。(同書、p132-133)
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貧富の分化と私有制の出現
父系氏族共同体では、男性は農業と手工業生産の主力であり、生産工具と財産の創造者でもありました。生産が日増しに増加するにしたがって余剰品も増え、・・・(中略)・・・個人生産と商品交換が出現すると、氏族内部の貧富の差が拡大し、私有制が日ごとに強固なものとなっていきます。(同書、p133)
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婚姻の形態
一夫一婦制は母系氏族共同体後期の対偶婚から発展してきたものです。・・・(中略)・・・男女関係が比較的安定して続く一夫一婦制が行われました。これが父系氏族社会の重要な指標となります。(同書、p134)
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古国
権力が一人に集中する現象は政権への転換の指標で、それは、五千年の文明史の上でひとつの転換点であり、古国の指標のひとつでもある。
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HHコメント: 文字の記録がないこの時代(新石器時代・先史時代)の生活や文化について、どのような根拠から上記のような推論の帰結が生まれてくるのか、より詳しく勉強してみたいと思う。この本は図版が多く、導入としては大変勉強になった。個々の事例の真相に関してはより詳細な検討を要す。2015年12月3日 木曜日。札幌にて。
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