science

質量とは何か

2016年7月4日 月曜日

都筑卓司 ゼロから学ぶ力学 講談社 2001年

*****

質量とは何か: 慣性、重力(引力)、エネルギー

*****

力学の果てにある問題は、質量とは何か、ということかもしれない。・・相対性理論で mc2=E (補注 cの二乗、自然単位でc=1とおけば、m=E) というように、けっきょくはエネルギーと同等なものとの認識を得て、原子爆弾や原子力発電でそれを経験したが、長さや時間と全く性質を異にする質量そのものが判明したわけではない。・・・(中略)・・・質量の源はクォークやレプトンに行き着くが、それらはなぜ質量をもつのか、質量の源はヒッグス粒子だという説が現在の素粒子論の最先端である。いったいどんな粒子なのか。誰にもよくわかっていない。陽電子を説明するために考えたラバ電子のようなものか。とにかくヒッグス粒子のために、粒子に力を加えても加速しにくくなるのである。(都筑、同書、p195-196)

*****

質量とは重さのことだ、と簡単に言ってしまっては困る。それを言うなら、質量は重さの原因になるものだ、と言うのがいい。・・・(中略)・・・質量も、物体の中に忍び込んでいて、(正しく言うと)慣性という性質ーーー押してもなかなか動こうとしない、動いているものを止めようとしても止まらないという意地悪さーーーを発揮する抽象物である。(都筑、同書、p47-48)

*****

質量とは物質の中に(?)あって、慣性(動くまい、あるいは動きを変えまいとする傾向)を発揮するとともに、重力場においては、その方向に引かれる性質そのものなのである。(都筑、同書、p49)

*****

補注 質量 m, mass(英), Masse(独)

補注 重力場 g, gravitational field

*****

********************************************

RELATED POST