biography

トルストイの最晩年

2016年7月26日 火曜日 晴れ

武藤洋二 紅葉する老年 旅人木喰から家出人トルストイまで みすず書房 2015年

トルストイが小説、戯曲、評論、日記、手紙を大量に書き、皇帝をいさめ、テロリストを批判し、教会を叱り、合法的な死刑をふくむあらゆる暴力について抗議し、一人の人間の活動とは思えない超人的な労働を日々行っており、ロシヤ文学は何をしているんだ、なぜ沈黙しているのだという非難があびせられることはないので、他のロシヤ文学者たちは、ゆっくりとかまえることができる。トルストイは、したがって、誰よりも休息する資格がある。しかし、死ぬ前ぐらいはゆっくりしよう、などと考えもしないし望まない老人である。(武藤、同書、p202)

どのような願いを書こうが死は常に白紙である。死は出たこと勝負である。したがって死は人生最後の冒険である。(武藤、同書、p206)

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トルストイの墓の場所について一つの言いつたえがある。そこには緑の棒が埋められていて、それには文字がきざまれているーーー「全ての人を幸福にするにはどうしたらいいか」。トルストイはこの問いの中で眠っている。(武藤、同書、p258)

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