biography

第三次近衛内閣の閣僚から外された松岡外相から東條陸将宛ての手紙

2022年12月30日 金曜日 晴れ

東條由布子 祖父東條英機「一切語るなかれ」増補改訂版 文春文庫 2000年(単行本は1992年読売新聞社刊、文庫初版は1995年文藝春秋社刊)

 ・・祖母は祖父が処刑される前に大切な物を預かった。  日米交渉の進め方で近衛首相と対立した松岡外相は、第三次近衛内閣の閣僚から外された。その時の心境を当時の東條陸将宛てに書かれた手紙である。十数メートルにも及ぶ巻紙に毛筆で書かれ、五千字にも及んだ。それには近衛首相を批判する内容が綿々と綴られていた。祖父は敗戦後、今までの物をすべて庭で焼き捨てたと言われているが、その中で「この手紙は歴史的に重要なものだから、米軍の手に入らないように保存して欲しい。いつか必ず役に立つ時が来るはずだから、その時には公表して欲しい」と祖母に託したという。祖父の願い通り祖母は実家に落ちのびたときは土中に埋め、東京に帰って来た後は祖母の部屋の仏壇の下にさりげなく置いていた。  その手紙はその後、松岡伝記が刊行された際に松岡家に貸し出され全文が収録された。(東條由布子、同書、p161)

補註: 近衛内閣の2次→3次の松岡外しに関しては、林千勝「近衛文麿 野望と挫折」(WAC 2017年)など参照下さい。  貴重な一次資料である松岡の東條宛て手紙に関して追って調べたい。

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