culture & history

中国においては、人は儒より入って、老荘に達する

 中国古代の文化を、いくつかの概念的規定によって特徴づけることは、あまり意味のあることではない。具体的にいえば、古代の文化は、みな合して儒家と老荘の二大思潮となって、のちの歴史を貫くものとなっている。しかしこの二つは、たんに空間的に、対立して相並ぶものではなく、時間的にいえば、つまり行為主体においては統一され、そこにはたらくものである。中国においては、人は儒より入って、老荘に達する。孔子は晩年に知命(ちめい)巻懐(けんかい)、主体的でありながら風雲に身を託する境涯に達し、また荘子が若くして儒学に深かったとみられることも、その消息を示すものである。この二つは、悠久の時間のなかで循環し運動しながら、この国の文化を形成し、特徴づけてきているということができよう。(白川、文化、p304-305)

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巻懐: 『衛霊公篇』に 、「邦に道あるときは則ち仕へ、邦に道無きときは、則ち巻きてこれを懐(おさ)むべし」と言った語を録する。巻懐ということは、それまでの孔子にはみられないことであった。・・・

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