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よい学問とは?: 普通の生活者の安寧と仕合わせを保障してくれる考え方を提供するのが、「よい学問」である。

2021年12月28日 火曜日 晴れ

小浜逸郎 新しい『学問のすすめ』 まだMMT(現代貨幣理論)を知らない貧困大国日本 徳間書店 2020年

「よい学問」と「悪い学問」の違い:

・・「よい学問」とは何か。  これはきわめて明瞭です。  ふつうの生活者の安寧と仕合わせを保障してくれる考え方を提供するのが、「よい学問」です。  ふつうの人々が、物質的・精神的な豊かさとゆとりを維持するにはどうすればよいかを教えてくれる考え方と言い換えてもよい。  そうした考え方に直結しなくても、ある専門知をそこにつなげられる道筋をつけてみせることができるなら、それは「よい学問」です。

 ・・「悪い学問」の定義は難しい。  なぜなら、「悪い学問」には、まさに学問を悪くしてしまうさまざまな個人的・組織的な感情や動機がからんでいるからです。  それらは、学問という体裁のために、その悪い要素が見えにくくなっています。  一般に、次のような人たちが学問をしている場合、それは悪い学問です。

・自分(たち)だけの利益のために都合よく屁理屈を用いる者

・自説が間違っていたことが明らかなのに、いつまでもそれを認めようとしない者

・自説に固執して、他人の意見を聞き入れようとしない者

・肩書きなどの権威主義に居直る者

・権威主義に額ずく者

・金銭目当てに自説を立てる者

・現実をよく見ずに整合性や純粋性にこだわり、現実と乖離してしまう者

・清廉潔白なだけの思想を学問と勘違いしている者

・いたずらに難解さを気取ってそれ自体が価値であるかのごとく思い込む者

・公共性への配慮がまったくなく、ただのオタク趣味に耽る者 (小浜、同書、p146-147)

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では、「よい学問」がそのよさを保つためには、どんな条件が必要でしょうか。

1.現実の危機を深く自覚する

2.既成の権威に阿らない

3.右顧左眄せず、自分の考えをしっかり固める

4.間違った考えを徹底的に糺す

5.自分が間違ったときには率直に認め、自説やそれに基づく言動を改める

6.流布されている「常識」を疑う

7.自分の考えをわかりやすく公表し、その拡張に絶えず努める

8.批判者、反論者を恐れず、彼らと堂々と議論する

9.危機克服のための処方をデザインし、できればそれを自ら実践に移す

 これほど日本が衰退の一途をたどっている以上、いまこそ上記のような条件を満たす新しい「学問」の構えが必要です。

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