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え!? 無条件降伏?? そんなの初耳だぞ!?

2022年3月7日 月曜日 曇り

神野正史 世界史劇場 第二次世界大戦 熾烈なるヨーロッパ戦線 欧米各国の思惑と戦争の実像に迫る! ベレ出版 2019年

カサブランカ会談(1943年1月)の会議後、・・記者会見の場で、ルーズヴェルトが突然こう発言した・・

「我々アメリカ・イギリスは日・独・伊が”無条件降伏”を受諾するまで 戦い抜くことで合意しました!」

ーーえ!? 無条件降伏?? そんなの初耳だぞ!?

チャーチルが驚いたのも道理、「日独伊に無条件降伏を叩きつける」など”合意”どころか、会談中そんな言葉すらただの”ひとこと”も出てこなかったからです。

「無条件降伏」というものは、元来”軍隊”に対して使う言葉であって、”国家”に対して使うものではなかったため、チャーチルは言葉の意味すら図りかねて困惑します。

ーー”国家に対して無条件降伏”とはどういう意味だ?  日本・ドイツ・イタリアという国家そのものを抹殺する(消滅させる)という意味か・・?

チャーチルは眉をひそめましたが、まさに世界中の記者が2人の座作進退・一挙一動を見守る中で、さしものチャーチルも「そのなのは今初めて聞いた。合意などしていない!」とも言えず、愛想笑いをして頷くしかなかったーーと彼自身がのちに述懐しています。

 その結果、合意してもいないことを合意したこととして全世界に報道されてしまったのです。(神野、同書、p272-273)

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 この”歴史を変えるほどの衝撃度のある案件”を誰にも相談せずに独断でいきなり世界に発表するなど到底考えられず、おそらく彼はこの言葉の重大性をまったく理解できていなかったーーと考える方が自然です。  しかしこの不用意な発言のせいで、以降の歴史を大きく変えることになりました。

 そもそも戦争というものは「どちらかが亡びるまで戦う」というものではありません。  「勝敗の帰趨が見えてきたら講和の条件を話し合い、お互いに妥協しながら早期に終戦を図る」というのが洋の東西と古今を問わず千篇一律の如く繰り返されてきた慣例です。

 ルーズヴェルトはそうした歴史的慣例を突然なんの脈絡もなくいきなり破り、敗戦国に「国家抹殺」を突きつけてきたのですから異常です。(神野、同書、p274)

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