literature & arts

まるで過ぎた日々の悲しい墓碑銘のように・・

2022年9月1日 木曜日 曇り一時雨

プーシキン作 神西清訳 大尉の娘 岩波文庫 1939年(2006年改版)

・・私の頸には輪縄がかけられた。私は心に祈禱を唱えはじめた。自分のこれまでに犯した罪科の一切を心から神に懺悔し、私の心に近しい人々皆の救いを祈ったのである。私は絞首台の下へ引っ立てられた。(プーシキン、同訳書、p124)

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馴染みの深い部屋にはいったとき、私の胸は疼きはじめた。壁には亡くなった司令官の辞令が、まるで過ぎた日々の悲しい墓碑銘のように、まだ掛けてあった。プガチョーフが腰をおろした安楽椅子は、ありし日のイヴァン・クージミチが、夫人の口小言を子守唄と聞きながら居眠りをしていたあの椅子だった。(プーシキン、同訳書、p193)

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マリア・プーシキナ

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