philosophy

超越性なき永遠性

・・・(ニーチェは)宗教一般と永遠性に対するある感覚を共有している。だが、それは超越性なき永遠性である。宗教的感覚をもたない者は、世界と自己の存在の意味を深く感じ取ることができない。だがそれはこの世界に現実に生じていない嘘の世界を、自分を慰めるために信じることとは違う。ニーチェは宗教から欲望と恐怖に発する卑小で下賤な素材を取り去り、最も本質的な部分だけを継承しようとする。
宗教を持たない者にとって、つかのまのこの生はーーーその内部にはさまざまな喜びや悲しみがあるにしてもーーーそれ自体としては、儚く、空しいものにすぎない。だが、そのことを嘆いて、生に外からの意味を与えるべきではない。それこそが<神>の死なのである。人生の無意味さと空しさから、目を背けるべきではない。それをそのまま肯定すべきなのだ。それが、<神>の復活の出発点なのだ。

以上、永井均「これがニーチェだ」 講談社現代新書 1998年 p204-5 より引用。

われわれは神という概念から最高の善意を除去しよう。それは神にふさわしくない。同様に、最高の知恵をも除去しよう。・・・神とは最高の力である・・・すべてがこの最高の力に引き続いて生じる。(1887年秋、10[90])永井訳 同書 p205 より引用。

RELATED POST