寺坂英孝 非ユークリッド幾何の世界 幾何学の原点をさぐる 講談社ブルーバックス 新装版2014年(初版は1985年)
2015年2月19日 木曜日
非ユークリッド幾何の世界、読了。午前はニーチェ本、午後は非ユークリッドで、一日中家の中で過ごした。右の膝関節痛があって安静にしている面もある。
それはともかく、
この寺坂さんの非ユークリッド幾何の本もとてもおもしろく読むことができた。ガウス、ロバチェフスキー、ボヤイ、そしてクラインへと至る非ユークリッド幾何発見の歴史。「直線外の点からこの直線に二本の平行線が引けると仮定したら、どうなるか」という方向で、そういう幾何を発見しようとし、惨憺たる苦悩を経てようやく非ユークリッド幾何にたどりついた。(同書、p198-9)
寺坂さんのこの本の第3章では、半球面上に非ユークリッド幾何のモデルを作って示す。
「ほら、ここに平行線が二本あるような非ユークリッド幾何がちゃんと目の前にできているではないか」と、いとも簡単に非ユークリッド幾何の数学的「存在」を証明してしまった。おまけにこのモデルを使うと・・・平行線角の式
tanθ(x)/2 = e to the power of -x/k
なども、ロバチェフスキーの天才はなくても、ただの計算だけで出せる(本書、補講6)。今となっては三天才の苦労した道を追って非ユークリッド幾何に達することは不要になってしまった。(同書、p199-200)
曲面の代わりにn次の拡がりをもつ多様体を考えるリーマンの「幾何学の基礎にある仮定について」1854年も紹介される。どの仮定が物理現象を説明するのに適当であるかは観測によって決めることになろう。(同書、p148-9参照)
・・・で定義して議論すると、四次元空間のなかに、リーマン的の非ユークリッド幾何が数学的には立派につくれる。これが実は現実の空間であり、幾何であるかもしれないのである。
現実の空間がどんなものであるかなど、人間にはなかなかわかりそうもないが、人が発見した数学という、極めて簡単な精密な武器を基にして、幾分でも自然現象の解明を心がけるというのは、我々人間のひとつの大きな生き甲斐ではないだろうか。(同書、p246)
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