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歴史は勝者が騙る: 戦勝国にとって都合の悪いことはことごとく隠蔽され、責任はすべて敗戦国に押し付けられ、大衆はこうしたねじ曲げられた歴史をすなおに信じる。

2022年3月7日 月曜日 曇り

神野正史 世界史劇場 第二次世界大戦 熾烈なるヨーロッパ戦線 欧米各国の思惑と戦争の実像に迫る! ベレ出版 2019年

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歴史は勝者が騙る

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・・1929年、世界大恐慌が起こったとき、唯一世界を救済する力をもっていた”持てる国(米・英・仏)”は世界を見棄てたどころか、”持たざる国(日・独・伊)”に寄生し、これを喰い物にする(ブロック経済)ことで、自分たちだけの生き残りを図りました。

・・・(中略)・・・

・・ヒトラーが何度も何度も和平を求めているのにこれを蹴り、蹴ったなら蹴ったで自分の力で事を鎮めるならまだしも、アメリカに参戦を求め、事を「局地戦」から「世界大戦」へと拡大させたのは誰か。

 独ソ戦が始まると、ただちに西部国境に戦線を開けばこの戦争はすぐに終わるとわかっていながら意図的にこれを開かず、またソ連に物資・武器の援助を行って、意図的に戦争を泥沼化させたのは誰か。

 やがて戦争の趨勢が見えてきたとき「無条件降伏」を突き付けて、枢軸国が絶対に降伏できないように追い詰めたのは誰か。

 いよいよ戦争を終わらせたいと思ったとき、民間人を無差別に皆殺し(ジェノサイド)にする核兵器を露ほどの良心の呵責もなく、これを投下したのは誰か。

 さらには、敗戦国指導者を皆殺し(ジェノサイド)にするための場を「裁判」と呼び、さも”正義が全うされる”という印象操作を行い、被告を「A級戦犯」と呼ぶことで、さも”もっとも罪深い犯罪者”と勘違いするように印象誘導をする。

 こうして戦勝国にとって都合の悪いことはことごとく隠蔽され、責任はすべて敗戦国に押し付けられ、大衆はこうしたねじ曲げられた歴史をすなおに信じる。 

 敗戦国の国民ですら「ヒトラーが悪い」「日本が悪い」。

 戦勝国首脳はこういう人々を見て腹を抱えて嗤っているのも知らず。

 こうした人々を見るにつけ、歴史に無知であることの罪深さを痛感させられます。

 我々は敗戦によって、歴史から目を背けるようになってしまいました。

 逆です。

 敗戦したからこそ、より一層歴史を学び、これを”未来への糧”としなければならないのです。(神野、同書、p328-329)

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