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土壌の塩基交換容量CEC

2016年10月27日 木曜日 晴れのち曇り

CEC Cation exchange capacity 塩基交換容量について

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樹木医学会編 樹木医学の基礎講座 海青社 2014年

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同型置換による負電荷の発生
粘土鉱物の生成過程で結晶中のケイ素(Si4+)やアルミニウム(Al3+)がほぼ同じ大きさで価数の少ない元素と入れ替わる(同型置換)ことにより、粘土鉱物は負の電荷を帯びる。<補注 シリカ4+(このときチャージ無し)がアルミニウム3+(シリカよりチャージが一つ少ない)と入れ替わること(同型置換)によって、粘土鉱物は -1 の負電荷を帯びる>

腐植が持つ負電荷は粘土鉱物に比べて大きいが、pHによって変化する特徴をもつ。土壌が陽イオンを吸着し得る最大の量、すなわち土壌の持つ負電荷の量を CEC (Cation exchange capacity 塩基交換容量)と呼ぶ。土壌コロイドには交換性塩基以外にも交換性の Al3+ や H+ などが吸着しており、森林土壌では交換性塩基の量は多くない。CEC に対する交換性塩基合計量の割合を塩基飽和度と呼び、%で表示する。塩基飽和度が高いほど養分供給力が高い土壌といえる。交換性 Al や交換性 H は酸として働くので、塩基飽和度が低い土壌では pH が低い傾向がある。(樹木医学の基礎講座、p108)

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補注 cation の発音は、
noun cat·ion \ˈkat-ˌī-ən, ˈka-(ˌ)tī-ən\ カタカナで表記するとキャット・アイオンの感じです。
ついでに
anion の発音は、
noun an·ion \ˈa-ˌnī-ən\ カタカナで表記するとア・ナイオンの感じです。

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無機態窒素
樹木が吸収するのは無機態窒素で、アンモニア態窒素、硝酸態窒素の2種類がある。・・・(中略)・・・アンモニア態窒素は正電荷を持っているため、交換性塩基と同様に土壌コロイドに吸着し、土壌に保持される。一方、硝酸態窒素は負電荷を持っているため土壌に吸着せず、土壌水とともに下層へと移動し、土壌から流亡しやすい。また、硝酸態窒素は土壌水中では Ca2+ 等との塩の形で存在するため、硝酸態窒素流出時には土壌中の塩基類も同時に流亡することになる。このことは硝化過程では H+ が生成することと合わせて土壌酸性化の要因となっている。(樹木医学の基礎講座、p109-110)

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