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ベと病菌(ツユカビ目・卵菌類)

2016年10月28日 金曜日 曇り

紅葉が散っていく季節。今日は私たち家族の記念日である。とはいえ、カビ(特にベと病菌について)の調べものなどしながら普通に過ごす。

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ベと病菌(卵菌類)
補注 ツユカビ目とされてはいたが・・ ツユカビ目のカビとは区別されて偽菌類とされる方向にあり、学問的な分類に関しては現在大きな変遷期を経過中であるようだ。

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細矢剛・出川洋介・勝本謙・(伊沢正名・写真) カビ図鑑 野外で探す微生物の不思議 全国農村教育協会 2010年

国立科学博物館編/細矢剛・責任編集 菌類のふしぎ 第2版 国立科学博物館叢書9 東海大学出版部 2014年

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ブドウべと病 病原菌はプラスモパラ・ヴィティコラ Plasmopara viticola
葉の裏側の病斑に見られる白い塊は、遊走子嚢。(カビ図鑑、p92)

泳ぐ胞子と風で飛ぶ胞子を選んだ
 ツユカビ目のカビはほとんどが植物寄生菌だ。その中に、水に浸ったような症状に始まり、高湿度が続くとべったりと腐ってしまう症状になることから「べと病菌」といわれる仲間がいる。これらは生きた植物にしか発生せず、人工的な培養ができない「絶対寄生菌」なので、野外や耕作地の植物上で探す必要がある。病斑は、ウリ類やブドウのように葉脈で区切られて多角形となるものと、タマネギやホウレンソウのように不規則に広がるものがある。
 菌糸は植物の細胞の間に広がり、葉裏の気孔から遊走子嚢柄を立ち上げる。多くの遊走子嚢柄の上部は樹枝条に分かれ、その頂端に1個ずつの遊走子嚢をつける。ウリ類、ブドウ、ヒマワリなどでは遊走子嚢から遊走子が生じ、水中を泳いで新しい植物に到達して侵入する。
 一方、ダイコン、カブなどのアブラナ科野菜、バラ、ホウレンソウ、ダイズ、ネギ類などのべと病では、遊走子ではなく、風で飛ばされた遊走子嚢から発芽管が伸びて、植物に侵入する。
 このようなことから、べと病菌の仲間は、水中での生活から陸上での生活へと、環境条件に適応しつつ生活型を変えていったと考えられている。(カビ図鑑、p92より引用)

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タマネギべと病の病原菌はペロノスポラ・デストルクトル Peronospora destructor
 不規則に広がり周縁部はあまりはっきりしない。(カビ図鑑、p93)

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ジャガイモやトマトの疫病の病原菌は、同じくツユカビ目の仲間で、フィトフトラ・インフェスタンス Phytophthora infestans
このカビは夜半に遊走子嚢をつくり、夜明け前に気温が下がって過湿になると発芽したり、遊走子が夜露などの水滴中を泳いで植物体に侵入する。条件によっては一晩で畑全体に病気が蔓延し、悲惨な状態となる。 ハウス栽培のトマトが、一夜明けてみると疫病で全滅していた例もある。(カビ図鑑、p93)

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補注 べと病 ウィキペディアによると・・・
原因菌の多くはPeronosporaceae科に属し、以下のような種がある。
ブドウ:Plasmopara viticola
キュウリ、スイカ、メロン:Pseudoperonospora cubensis
ホウレンソウ:Peronospora farinose
タマネギ、ネギ:Peronospora destructor
ダイコン、キャベツ:Peronospora parasitica
ダイズ:Peronospora manshurica
レタス:Bremia lactucae
バジル:Peronospora belbahrii

英語ではDowny mildewと呼ばれる。単にMildewというと、うどんこ病(Powdery mildew)なども含めた呼び名であり、また一般のカビを指すこともある。とのこと。https://ja.wikipedia.org/wiki/べと病

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