2025年2月8日 土曜日 晴れ
荒谷・伊藤 日本の特殊部隊をつくったふたりの“異端”自衛官 人は何のために戦うのか ワニ・プラス 2023年
伊藤 私が常に意識していたのは、「向いている人間で部隊を創る」ということでした。・・・(中略)・・・ 世の中には、確実に死亡するような任務を与えられても、「死ぬのはしょうがないとして、どうやるかな」と考える人間がいます。不審船への立ち入り検査はそういう人間にやらせるべき仕事でした。「特別な人生観」の者を集めて、「特別な道具」を持たせて、「特別な訓練」をしてから行かせるべきなのです。 政府が「今後は、いかなる犠牲を払ってでも、日本人を奪還する」と決めたのなら、この三つの「特別な条件」を備えた部隊を創設する必要があります。 だから、特別警備隊の隊員にはいつも「納得がいかないと思ったら断れ」と言っていました。これは訓練においても、作戦行動においてもです。 通常、軍隊においては、上官の命令を拒否することはできません。命令拒否や違反は厳しく処罰されます。それでもこう言ったのは、特殊部隊の隊員は命令ではなく納得で動かねばならないからです。 (中略) この“大事な何か”を守る部隊は、長生きや金儲けという目に見えるものだけではなく、目に見えない、何かのために死ぬことを、自らの意志で選び、そこに喜びを感じるようなタイプの人間でなければできません。 そういう彼らが納得いかないのであれば、訓練にしろ作戦行動にしろ、それ自体が間違っている可能性があると考えていました。(伊藤、同書、p53-55)
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