2017年2月10日 金曜日 曇り
Austen; Sense and Sensibility, Penguin Classics 1995 (First Published in 1811)
Naxos AudioBooks; Narrator, Juliet Stevenson, 2005.
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Want of sense, either natural or improved—want of elegance—want of spirits—or want of temper
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She (=Elinor) could not but smile to see the graciousness of both mother (Mrs. Ferrars’s) and daughter (Mrs. Joh Dashwood, Elinor’s sister-in-law) toward the very person (=Lucy)—for Lucy was particularly distinguished—whom of all others, had they known as much as she (=Elinor) did, they would have been most anxious to mortify (補註*参照); while she herself (=Elinor), who had comparatively no
power to wound them, sat pointedly slighted by both (=Mrs. Ferrars’s and her daughter, Mrs. Joh Dashwood). (ditto, p219)
補註* mortify という単語、死と関係ありそうだが、・・この語の意味をわからないと上記引用分の意味が全く分からなくなる。もっとも、状況から推定してこの語の意味はぴったり言い当てることができたが。・・オースティンが描く、イジメの世界・・ゼッタイ・ダメ!ーーー今なら試しに、ベビメタの歌と踊りを聴かせて(見せて)あげたい世界である(さほど効果は無いだろうが)。昔も今もイジワルがなくなることはない。2010年代のベビメタの代わりに1811年のJ.オースティンがここで冷酷冷静なタッチで描いてくれている。ピンポイントでエレナーが軽んじられているのだが、エドワードとルーシーの婚約について知っているエレナーにとっては、このイジメ(嫌がらせ)が的はずれの空振りで、却って滑稽にも感じられるのである。数ヶ月前なら、エレナーだって本当に悲しい思いをさせられたことであろうに・・オースティンの描写力は(このような状況と心理を描く際には)絶妙である。
mortify 三省堂英語語義語源辞典によると・・
人に悔しい思いをさせる プライドを傷つけるほどに屈辱を与える
後期ラテン語 mortificare (=to put to death) が古フランス語を経て中英語に被会った。
mortification 屈辱 悔しさ 苦行
mortal ラテン語 mors (死)の派生語 mortalis が古フランス語を経て中英語に入った。
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— no poverty of any kind, except of conversation (補註##) appeared— but there, the deficiency was considerable. John Dashwood had not much to say for himself that was worth hearing, and his wife (=Fanny) had still less. But there was no peculiar disgrace in this, for it was very much the case with the chief of their visitors, who almost all labored under one or other of these disqualifications for being agreeable—Want of sense, either natural or improved—want of elegance—want of spirits—or want of temper. (ditto, volume II, Chapter xii, p220)
補註## poverty of any kind, except of conversation
poverty of conversation がかけことばになっているかも?
(1)引用文よりも前の記述を受けて: エレナーの兄のジョンが、エレナーに会う度にお金がなくてエレナーに何もしてあげられないことを嘆く。それでもこんなに豪華なディナーパーティを開くのだから本当にお金がないわけではない。兄夫婦のいう貧しさは単に話で言っている(poverty of conversation)だけだ。
(2)引用文の部分を受けて: それにしてもこのパーティで話されることの貧困なこと!(poverty of conversation)という、パーティに集まる人に対する厳しい批判。調度品や食事が豪華なのに対して、集まった人々の会話の内容の無い様は・・というエレナーとも語り手オースティンとも判然としない地の文の語りよう。
この面白さを感じられるか馬鹿馬鹿しいか、好きになれるか楽しめないかは、読者次第・・You can be either an enthusiastic Janeites or anti-Janeites, as you choose or as you are destined to be.
ただ、この微妙な表現たちを、特急快速の朗読で聴いて、そのまま分かる、というほどの実力の域には、私の英語読解力は遙かに達していない。ゆっくりと辞書をひきひき紙の本を読んで、やっと「ああ、そんなことが書いてあったのか」と気づけるレベルなのである。ジェーンの軽妙なスピードに対して余りにのろまである。間が抜けていて、残念だ。六十からの手習いの英語学習でも、もう少し何とかならないものか。
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Marianne’s warmth
Elinor was much more hurt by Marianne’w warmth, than she had been (hurt) by what(=Mrs. Ferrars’sからの侮辱) produced it(=Marianne’s warmth). (ditto, p222)
補註 ここも微妙な感情表現であるが・・
マリアンがカッと熱くなったこと Marianne’s warmth の背後には、「エレナーがエドワードと愛し合っていて結婚する」という思い込みがあり、それなのにエドワードの母親フェラス夫人があからさまにエレナーに辛く当たることに、妹として激しく義憤を感じ、腹を立てているのである。ところがエレナー自身はエドワードとルーシーの婚約をルーシーから打ちあけられて知っている。しかもルーシーからはこのことを秘密にするように約束させられている。それ自体とてもエレナーには辛いことなのだ。この事情を知らない妹マリアンの思い込みによる気持ちの動き自体が、板挟みになっている状態のエレナーにはとても辛いのである。この部分に対応して、後に、エレナーがいかに辛かったかをマリアンに熱く語る(その場面でエレナーは最初は冷静だったので、次第に熱く語るというべきだが)場面で印象的に語られる。この小説の一つの山場である。
by what(=Mrs. Ferrars’sからの侮辱) produced it(=Marianne’s warmth)・・Mrs. Ferrars’sからの侮辱自体は、イジメで辛いことではあるものの、本来はルーシーに向けられるべきイジワルである。エレナーにとっては的はずれ、いわゆる空振りであり、エレナーはユーモアと批判精神をもって軽く受けとめることができるので、さほど傷つかないのである。それでも傷ついたことには変わりない、上記の場面でどんなに辛かったかをマリアンに語る場面が感動的である。
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Mrs. Jennings immediately gave her (=Marianne), her salts. (ditto, p222)
補註 ジェニング夫人は、マリアンに同情して gave her salts したのだが、勝俣の英和活用大辞典第二版を引いてみても該当するイディオムは載っていない。ウィズダム英和にも載っていない。このherがマリアンなのかジェニング夫人自身なのか分からない。文法的には後ろのherはジェニング夫人を指しているのが自然である。このところの文意が今の私にはわからない。宿題に。(2017年2月10日時点)
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