mathematics

だれかが統計値を押しつけてきたら、「何を比べているのか」「動機は何か」「これがすべてなのか」を自問してみよう。

2021年3月16日 火曜日 晴れ・日中6〜9℃と暖かい雪解け。

キット・イェーツ 生と死を分ける数学 人生の(ほぼ)すべてに数学が関係するわけ 草思社 2020年(原著は2019年)

・・法廷で得られたこれらの教訓を、自分たちの人生の別の部分にも押し広げることができる。・・分別ある人は、新聞の見出しの目を惹く数値、広告が押しつけてくる主張、友だちや同僚からの伝言ゲームなどに懐疑的であるべきだ。数値を操作することで恩恵を被る人間がいるすべての分野でーーつまり、数値が登場するほぼすべての分野でーーその主張を疑いの目で受け止め、もっと説明してくれ、と求めるべきなのだ。自信を持って自分の数値が正しいといえる人は誰でも、喜んで説明してくれるはずだ。・・数学の煙幕を目の前に張られる前に、数学がツールとして適切かどうかを厳しく問いかけることだ。(イェーツ、同書、p152-153)

**

・・自分が引用する数字の精度を軽んじる姿勢を一度でも見せた人間は、時が経っても慎重になる可能性は少ない。(同、p199)

・・だれかが統計値を押しつけてきたら、「何を比べているのか」「動機は何か」「これがすべてなのか」を自問してみよう。これら3つの問いに対する答えを得ようとすると、数値の信頼性を決めるための長い旅に出ることになるかもしれない。そしてその旅の果てに答えが見つからなければ、その事実自体が何かを物語っている。(同書、p200)

***

数学を使って嘘をつく方法は、じつに多種多様だ。・・その数値には、普通は真実の種が含まれているが、真実が丸ごと示されることはめったにない。このような歪みは、わざと虚偽の表示を行った結果かもしれないし、自分たちの計算が間違っているとか、自分たちがなんらかの偏りを押しつけているといったことにまるで無自覚な人間が誤ったことを行っているのかもしれない。この先の章では、もっと不吉な状況において、そのような純粋に数学的な間違いがどれほど破滅的な結果をもたらすかを見ていく。(同書、p201)

**

・・次なる世界規模の(感染症の)大流行が、新たに出現する病気によるものではなく、何度も目にしてきた病気によるものである可能性は極めて高いのだ。(同書、p308)

補註: 本書の原著は2019年9月に刊行されている。著者のイェーツ氏が、2019年10月頃から武漢で始まった新型コロナウイルス感染症の流行・世界的なコロナウイルス騒ぎについて、どのような解説をされるか、本書の改訂新版ないし次の著書で読ませていただきたいと楽しみにしている。

補註: 本書は数式の出てこない、網羅的かつ入門書的な啓蒙本である。なので、手際良く書かれているにもかかわらず、読み手によっては、もの足りない記載に終わってしまっていて残念に思われることであろう。そのような一歩進んだ読者のために、入門書と専門学術書との中間のギャップを埋めてくれるような書物が多く書かれていくことを望みたい。

**

 

*****

 

*********************************

RELATED POST