2021年4月9日 金曜日 晴れ
吉田武 処世の別解 比較を拒み「自己新」を目指せ 東海大学出版部 2017年
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心の最深部を護れ
・・恐らくは、「言い訳が多い」と言われ、「反省がない」と受け取られ、「開き直っている」と嫌われるだろうが、全てはそれが顔に出るか否かだけの問題であり、「顔面の筋肉操作」を覚えれば回避可能である。相手を騙せ、口だけ合わせておけ、と言っているのではない。事実と評価を混ぜ合わせて、勝手な烙印を押されることを、自分の心の中だけは許すな、と言っているのである。心の中で「不同意だ」と呟けばいい。本当に護るべきは世間体ではない、自らの心、その最深部である。撥ね除けるべきは、即座に撥ね除けなければならない。たとえ僅かでも体内に入れてしまえば、傷口が化膿する。悩みの深さは、それに関わる時間で決まる。即時対応、即時排除が必須である。(吉田、同書、p75)
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老いてこその可能性
・・肉体であれ精神であれ、「若い」という言葉に拘るその姿勢こそが、既に若さが持つ柔軟性を著しく欠いたもの、即ち「老いそのもの」なのである。 本当に心が若く柔軟であれば、「たかが老化だ」と逸早く自らの老いを認め、素早く転進するはずである。そうすれば、新たな分野における初心者として、再び「自己記録」の更新に挑むことが出来るだろう。即ち、老いを認めることは、自分自身の新たな可能性の発見なのである。(吉田、同書、p148)
・・斯くして趣味の範囲が拡がり、交友も多彩になり、全方位的な教養と自己を真摯に見詰める人間性を併せ持った人物になって、所謂「年の功」を得るのではないか。「若さ」という欲から解放されることこそが、老境の楽しみなのである。(吉田、同書、p148)
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