culture & history

イギリス産業革命

2022年1月2日 日曜日 晴れ(雲が無く、陽射しが暖かい)

君塚直隆 物語イギリスの歴史(下)清教徒・名誉革命から21世紀まで 中公新書2319 2015年

手工業から工場制の機械工業生産への転換を史上初めて成功に導いたイギリス産業革命は、1760年代頃から始まり1830年代に一度そのピークを終えた。「革命」という言葉のわりには長く広いスパンを備えた社会経済現象であった。

世界に先駆けてイギリスでこれが実現し得たのは、

① 近世以降に見られた生産の自由の保障、

② 商工業労働者を扶養できる農業革命、

③ 海外も含めた豊富な工業資源(特に鉄と石炭)、

④ ワットの蒸気機関発明に代表される科学革命、

⑤ 製品を売りさばく広大な海外市場と海運力(交通革命)、

⑥ 豊富な海外からの資本(特にオランダ)

といった条件が、この時期のイギリスに高度なかたちで集中していたことが挙げられる。

 19世紀半ばまでには、イギリスは全世界の衣料製品の半分、工業製品の四割を生産し、「世界の工場」と呼ばれるに至った。また、産業革命の産物ともいうべき鉄道も1830年以降に普及し、それまで一生涯「村」を出るようなこともなかった地方の住民が、日帰りでロンドンを見物できるまでに、人々の生活も大きく変わった。(君塚、同書、p119〜120)

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補註追記220105 血塗られた繁栄・・産業革命を興すには莫大な原資がかかりますが、これは奴隷貿易によってまかなわれました。(神野正史 「覇権」で読み解けば世界史がわかる p204 祥伝社 2016年)

上の銅版画は19世紀のイギリスを代表する作家、ディケンズであるが、彼もまた、イギリスが外から力尽くで奪ったものについて思い及んでいない作家なのである。(オースティンやディケンズの作品の価値がそのことによって台無しになるわけではないのであるが・・)。補註追記220105終わり。

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補註追記220105 

神野正史 粛清で読み解く世界史 辰巳出版 2018年

ヨーロッパは時代から取り残された“恐竜”

・・18〜19世紀にヨーロッパが覇(ヘゲモニー)を唱えることができたのも「強者」だったからでも「優等人種」だったからでもなく、単に「武力が無制限にモノを言う時代(帝国主義時代)」にあって、彼らの「異分子は粛清(みなごろしに)せよ!」という教条(ドグマ)をもつ“戦闘民族”としての民族性がぴったりと適合(マッチ)したからに他なりません。(神野、同書、p300)

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