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誰が騙されていたのか?

2025年2月22日 土曜日 晴れ

ミヒャエル・パルマー著 原田輝一訳 偽装された原爆投下 広島・長崎原爆の物理学的・医学的エビデンスへの再検討

誰が騙されていたのか(パルマー、同書、p454)

 ・・もしもバーンズが、とある財政的支援者たちの意向を代弁する立場にいたとしたら。そしてその集団とは、自分たちの利益のために原爆投下を実現したいものの、それに責任があったとみなされるのは具合が悪い立場にいたとしたら。自らの存在や意見は隠しておきながら、バーンズを介して、「原爆投下を実行することが大統領の政治目的にとって有利になる」とトルーマンに信じ込ませようとするでしょう。「原爆投下を実行する価値とは、ソ連をコントロールできるようになることである」、とトルーマンを説き伏せたのなら、それは非常に巧妙な計略だったといえます。(パルマー、同書、p455)・・・以下略・・・

テロ行為としての原爆投下捏造

 ・・原爆投下の目的において、「偽装してまで衝撃を与えて脅かそうとした相手は、欺瞞を見破る方法を持たない人たちであった」と結論せざるを得ません。情報機関とつながっていない人々は、信頼できる情報を持つことができず、この残忍な舞台劇に騙されてしまいます。そうなると唯一考えられるのは、この詐欺行為は人類全体を狙って行われたことになります。広島と長崎への原爆投下は「軍事戦争(military combat)を装った、世界の一般市民を相手とした、卑劣で凶暴な国家テロリズム(state terrorism)としての二大事件として理解されるべきです。(パルマー、同書、p456-457)

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 科学的な理解という局面を離れて、広島と長崎の生存者の物語に、私は深い感銘を受けました。ととえば、まだ十代の二人の少年の話に心を動かされました。(中略)二人はそこにとどまり、病人の世話をしたり水を与えたりして過ごしました。また、爆撃で両親を亡くした多くの思春期の少年少女が、幼いきょうだいを養い、学校に通わせるため、自分を捨てて必死に働いていたといいます。自らも「放射線障害」にかかった秋月医師と永井医師、自分のことを犠牲にして、他人の苦しみを和らげようとひたむきに献身したといいます。蜂谷医師、そして彼のまわりの身近な人たちの優しさが心に沁みます。・・(以下、略)・・ 本書では、蜂谷医師や多くの人たちが残した言葉のうち、科学的に重要な部分にのみ焦点を当ててきました。しかし、こうした人たちの作品は、純粋な人間性について気づかせてくれます。全文を読む価値があります。彼らはマハトマ・ガンジーの次の言葉を体現しています。

In the midst of death life persists,

In the midst of untruth truth persists,

In the midst of darkness light persists.

行動する人の生はその死をもっておわることなく、

真実が偽りによって息絶えることなく、

希望を捨てなかった人たちの眼に、いつか光は注ぎ込まれる。(訳者意訳)(同書、p469-470)

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