2025年2月22日 土曜日 晴れ
ミヒャエル・パルマー著 原田輝一訳 偽装された原爆投下 広島・長崎原爆の物理学的・医学的エビデンスへの再検討
トルーマンの大統領就任時、戦争をどう遂行するかという意味はすでに薄れていて、戦後問題をどう処理していくかが主要課題になっていました。戦争が終われば,当然戦時予算は縮小され、ルーズベルトが承認した機密予算もなくなります。国内問題としては、戦争予算をどのように縮小し、そして新たに議会で承認されたどの部門へ新たに回していくのか、そうした問題が主要課題になっていました。(中略)
開発現場の人間にとっては、大きなジレンマがあったはずです。3,4年後にはほぼ間違いなく原爆が完成する目途が立っていながら、そこへ至る開発予算が大きく削減されるかもしれないのです。また核兵器にはそれに関連する産業が大きな期待を寄せていました。(中略)・・第二次世界大戦は終わろうとも、次はソビエトを敵国とした新たな戦争危機が発生し、戦争体制が継続されていくことが、議会に予算を承認させていくうえで欠かせない条件だったことは想像に難くありません。(原田、同書、p479-480)
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「核兵器が市民を巻きこんで使用されたという事実」に対して、「そして「次はアメリカに向かって使用される危険性が高まっていくという危機感」に対して、アメリカ国民が現実味を感じていく展開こそが、多方面の産業が予算を獲得するうえで有利に作用することは間違いありません。どうせ原爆は完成するのだから、この急場はダミー原爆で埋め合わせをしよう、と考えても不思議ではなかったでしょう。(原田、同書、p480-481)
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