literature & arts

分別と多感

理性と感情 vs 分別と多感

2015年4月2日 木曜日 晴れ 暖かい

Sense and Sensibility / Vernunft und Gefühl – zweisprachig Englisch-Deutsch / Bilingual English-German Edition…2012/11/21 | Kindle本
Jane Austen、 Igor Kogan

「―分別と多感―」― Sense and Sensibility 

先日このブログでも紹介したジェーン・オースティン、もちろんドイツでも人気で、英語とドイツ語の対訳本が発行されていることを今日発見した。その訳がおもしろい。

Sense: ドイツ語ではVernunft と訳すのか・・・もちろん Kritik der reinen Vernunft で覚えているとおり、私たちは die Vernunft を「理性」と訳し慣れている。手元の辞書では、理性、分別、英語では reason。

Sensibility: 一方の das Gefühl の方は、感情、気持ち、情緒、英語では feeling。英語の原題の Sensibility を多感と訳すとやや訳しすぎ、感情やや過多に感じてしまう。が、feeling イコール Gefühl というのはぴったり過不足ないような気持ちイコール feeling を抱いて落ち着ける。

しかし、sensibile > sensibility が イコール feeling というのも、どことなく得心がいかない。 sinsibility は、鋭敏な感覚・敏感さ、などと訳されている(英語語義語源辞典・三省堂より)。sensible 分別がある、sensitive 敏感な(政村・英語語義イメージ辞典・大修館書店より)。sense and sensibility の語義のイメージを把握するのは意外と難しそうだ。Vernunft und Gefühl というドイツ語訳も、分別と多感という日本語訳も、はたまた reason and feeling という英語への戻し訳も、オリジナルの sense and sensibility という英語に十分に対応し切れていないようですっきりしない。

オースティン本のようないわゆる「読みやすい」本(脚注*)でも、他の外国語と対照させながら読んでみるとそれぞれの国の言葉の語感をどう捉えているのかを再認識させられるよいチャンスになるかもしれない。ただし、今はやや時間と心のゆとりがないので、老後の楽しみということにして来冬以降に先延べ。

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脚注* 「読みにくい」本としては、Kritik der reinen Vernunft などのカント本を想定している。それでも先日とうとうカントの批判本3セットを買ってしまったのである。できれば・・・読みたい本・・・。

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