culture & history

易・五行と日本の神々

2016年3月31日

吉野裕子 神々の誕生 易・五行と日本の神々 岩波書店 1990年

私どもが自分の国の昔を知ろうとする説き、重要なことは祖先達が何を信じ、何を基準として生きていたか、その精神生活の中心を求めることである。昔を知ることは、古人の依り処としていたところを視ることである。従って先ず、しなければならないことは、時を遡行して古人の側(かたわ)らに近づくことであって、現在の位置に居座って今の心で合理的な解釈とか推測を加えることではない。 古人の遵奉していたものが今日からみれば迷信に過ぎず、ととえ非科学的なものであるにせよ、とにかく先ず以てそれを学ぶことが先決である。非科学的といって却(しりぞ)け、それを問題解明の手がかりとして用いないことは、それ自体が非科学的である。・・・(中略)・・・私見に依れば、それらの神々に対する信仰ももちろんであるが、それらと相並んで、時にはそれらに優って古人が心を寄せていたものは、「理」すなわち「易の理」であった。(吉野、同書、p244-245)

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日本のまつりの多くは、表面からはその意義は全く伏せられてしまっている。このように何事も知らず、教えられず、ひたすらに無心のうちに伝承を守るところにこそ、実は日本の祭りの本領があるのだろうか。人々に共通する幼い日の無心の祭りの体験が、日本の祭りを祭りとして伝えていく原動力とも考えられるのである。(吉野、同書、p200)

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蛇と易・五行の法則、この両者の混在が日本の祭りを複雑難解なものとしている。(吉野、同書、p117)

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補注  卦
訓読み 1.うらな-う
音読み 1.カ 2.カイ 3.ケ

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補注 著者の吉野裕子さん ウィキペディアによると・・・
吉野裕子(よしの ひろこ、1916年 – 2008年4月18日)は、日本の民俗学者。
東京都出身。1942年『風のさそひ』を上梓、専業主婦となるが、日本舞踊を習っていたことから民俗学に関心をもち、1954年津田塾大学卒業、1970年著書『扇』を刊行、1977年「陰陽五行思想から見た日本の祭り」により筑波大学(東京教育大学)文学博士号取得。在野の学者として著書多数。全集全12巻がある。

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