culture & history

ヨーロッパ11~12世紀の農業革命と十字軍遠征

2022年1月3日 月曜日 午後は曇

藤沢道郎 物語イタリアの歴史 中公新書1045 1991年

寒冷化・温暖化、気候変動とユーラシアの歴史:

荒地森林の開拓と農業技術の革新を基軸とする経済革命は、11世紀に端を発して12世紀に全面開花し、生産力を着実に増大せしめた。余剰生産物が市場に溢れ出し、商工業が盛んになり、貨幣が流通し始め、蓄積と投資が可能になり、何世紀も死んだように静かだった都市が、活況を呈し始める。商人たちは己の自治組織をそのまま都市統治の組織として確立しようと、従来の支配者である土地貴族と衝突し始める。貴族、聖職者、農民という従来の基本階級関係の間に、商人階級、都市ブルジョアジーが割り込んでくる。そしてこの状況をさらに前方へ推進する強力な契機となったのが、数次に及ぶ十字軍遠征であったことはいうまでもない。(藤沢、同書、p55)

 ・・本来の宗教的目的は達せられなかったけれども、経済的・社会的な副産物は山ほどあり、それがヨーロッパ社会の発展に決定的な役割を果たしたのである。地中海の制海権を取り戻したのは、ノルマン軍団の活躍と十字軍遠征のおかげであり、イタリアの貿易量はそれによって急上昇を遂げ、・・海港都市が互いに争いつつ隆盛を競い、遠隔地貿易のルートが次々開発され、・・・・・(中略)・・・  内での農業革命の効果と外からの強烈な刺激とが同時に働いたから、何百年も停滞を続けたヨーロッパ社会のエンジンは、今や凄い馬力で回転を始めた。(藤沢、同書、p55-56)

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2022年1月4日 火曜日 雪

8世紀の“寒の戻り“を過ぎ、地球はふたたび温暖化、12世紀にはヨーロッパが拡大しはじめた。(神野正史、「移民」で読み解く世界史、イースト・プレス、2019年、より引用)

・・これは言わば“寒の戻り“のようなもので、基本的に7〜14世紀までは温暖な時代がつづきます。  これを背景として、10世紀には三圃制、11世紀には重量有輪犂が導入されて飛躍的に農業生産力が高まり(これを「中世農業革命」といいます)、12世紀を中心として「大開墾時代」を迎えました。  こうして人口が増え、余剰物資が生まれるようになると、そのみなぎる力を“外”に吐き出そうとするのは自然の流れ。  それが形となって表れたものが、東北へは「東方移民」、南西へは「再征服運動レコンキスタ」、南東へは「十字軍クルーセイド」です。(神野、同書、p100〜101)

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