culture & history

生まれては消え、消えてはまた生まれる国際秩序

2022年2月8日 火曜日 曇り

神野正史 戦争と革命の世界史 World history of war and revolution だいわ文庫 2016年

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初の国際秩序「ウェストファリア体制」

そこでヨーロッパ人は考えました。 ーーこんな惨劇を繰り返したら、我々は遠からず自滅してしまう。 二度とこんな戦禍がおこらぬよう、我々は自縄自縛しておかねばならない。 こうして、世界初の国際会議となったウェストファリア会議で取り決められた条約(ウェストファリア条約)を護るため、これを破る国が現れた場合には、これに国際的に制裁を加えることで秩序を保とうとします。 これが「国際秩序」という概念です。(神野、同書、p232)

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生まれては消え、消えてはまた生まれる国際秩序

① 初の国際秩序: ウェストファリア体制(1648年〜)

フランス革命(1789〜99年)で崩壊。

たちまちヨーロッパはその全土を巻き込むナポレオン戦争(1796〜1815年)

ーーやはりり我々は「国際秩序」がなければ秩序が保てない!

② → 戦後、ただちに2番目の国際秩序: 「ウィーン体制」

フランスの二月革命(1848年)で崩壊。

たちまち全ヨーロッパを覆いつくす革命騒ぎでヨーロッパは収拾のつかない混乱期に。

③ 3番目の国際秩序: 「ビスマルク体制」(1871年)

ビスマルクの失脚(1890年)によって破れる。

ヨーロッパはたちまち第一次世界大戦へと驀進。

ーーやっぱり我々は「国際秩序」がなければ秩序が保てない!

④ そこで戦後、4番目の国際秩序: 「ヴェルサイユ体制」(1919年)

これもまもなく崩壊(1935/36年)

たちまち第二次世界大戦(1939〜45年)

⑤ 5番目の国際秩序「ヤルタ体制」(1945年)

マルタ会談(1989年)により終焉。

現在(2016〜2022年現在)は国際秩序がない状態です。

ーー国際秩序がない。

これは、現在の国際世界が「ボスのいない飢えた狼の群れが彷徨う世界」であることを示しています。(神野、同書、p233〜234)

ゲオルク・フォン・フルンツベルク(Georg von Frundsberg, 1473年9月24日 – 1528年8月20日)
アルプスを越えるスイス傭兵(ルツェルン・シリングの挿絵)  Swiss mercenaries traversing the Alps. Following the capture of Cremona (1509) in the War of the League of Cambrai, Swiss mercenaries desert the French army and walk home. Illustration from the Lucerne Chronicle of 1513.

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