2022年2月8日 火曜日 曇り
神野正史 戦争と革命の世界史 World history of war and revolution だいわ文庫 2016年
・・このように、ヨーロッパの片隅で起こった小さな事件が、たちまち全欧を撒き込む大戦争となり、泥沼化して30年にもわたって続いた結果、国土は荒れ、人口は戦前の5分の2にまで落ち込み、決定的荒廃をもたらすことになりました。
・・どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。 じつはその原因は、彼らヨーロッパ人の思想・価値観・行動様式(エートス)にあります。 彼らは、どこかで小さな争いが起こると、そのおこぼれに与ろうと我も我もとその利権に群がろうとする民族的習性がありました。
これは「飢えた狼の群れに腐肉を投げ込んでやったときの狼の反応」を思い浮かべると想像しやすい。 腐肉が投げ入れられた瞬間、わずかな腐肉をめぐって仲間同士で殺し合いが始まります。
原注: もっと言葉を加えれば「ボスのいない寄せ集めの群れ」。ボスがいれば統率が取れますので。(神野、同書、p230-231)
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・・ところが、近世に入って経済力が高まって長期戦を戦うことができるようになったうえ、火器が普及して戦禍が甚大になってくると、たちまちその民族性の弊害が彼ら自身の首を絞めはじめます。
原注: たとえば大砲は、砲丸(鉄球)から榴弾(着弾してから爆発)や散弾(小弾を多数発射)が使われるようになり、その被害が甚大になったのもこのころからです。(神野、同書、p231)
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