2016年9月23日 金曜日 一日中雨
昨日まで天気予報では晴れが連続する予想であったが、今日は朝から雨が降り続いている。この頃の天気予報は特に当たらない。昔から言われてきたように秋の天気は予想がつけづらいのであろう。
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イモムシの不思議
森昭彦 イモムシのふしぎ ちいさなカラダに隠された進化の工夫と驚愕の生命科学 サイエンス・アイ新書 SBクリエイティブ(株)発行 2014年
羽化を読み解く
・・驚くべきことに、それまでの原型をまったくとどめていない。 けれども脳と神経(一部分)や、前述したホルモン分泌器官などごく一部の組織だけが維持され、再構築の指揮・監督を担っており、壮大な大改革が、恐ろしく静かに進行してゆく。(森、同書、p66)
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最新ゴマダラ注意報
分布の拡大に勢いがあるため、ほかの地域で見つけた場合はWEBなどで公表しておくと研究者に大きな助太刀となる。外来種だからといって毛嫌いする必要はまるでない。まずはよく知るほうが大切。そういえる研究者も、最近はめっきり少なくなったけれど。(森、同書、p162)
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樹上の精神分析医 シャチホコガ
奇態世界の金字塔、シャチホコガ。・・見る人の文化性により、まるで違うものに見えるらしい。・・・(中略)・・・飼育は簡単である。家族を説得するほうがよっぽどむずかしい。スイス人画家H・R・ギーガーの世界に理解があるなら話は早いけれど、あまりにも異様な風体は、とても一般社会人向けではない。・・・(中略)・・・横から見ればエビを思わせる(お尻を顔に見立てる)。英名も lobster moth という。 さながら歩くロールシャッハ・テスト。
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補注 H・R・ギーガー ウィキペディアによると・・・
H・R・ギーガー(ハンス・ルドルフ・ギーガー、Hans Rudolf Giger 、1940年2月5日 – 2014年5月12日)は、スイス人の画家で、デザイナー。ハンスリューディ・ギーガー(Hansruedi Giger)またはハンス・リューディ・ギーガー(Hans Ruedi Giger)とも表記される場合がある。スイスのクールで誕生、その後にチューリッヒで建築とインダストリアルデザインを学んだ。レコードおよびCDのカバーアートの制作や、映画『エイリアン』でのデザインで知られている。2013年秋に階段から転落し、療養中の2014年5月12日に病院で死去した。74歳没。
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コウモリガ
産卵期を迎えたコウモリガのメスは、高度1メートルにて草地を飛び回りながら産卵する。産みつけるという観念はさらさらなく、字義通りに産み落とす。空爆である。・・・(中略)・・・ 初夏、大きくなったお子様は、満を持して大事業にとりかかる。樹木に登って硬い幹に穴をあける。たいてい果樹や落葉樹の若木であるから、穿孔されるとひとたまりもない。お子様が潜入していることは、彼らの奇習によってすぐにわかる。幹にあけた穴の出口から、食べかすとフンをいっしょにして外にだし、ごていねいにも糸でつづって固定する。表札をわざわざ揚げるのだ。 幼虫時代が2年間におよぶため、果樹などに入られると目もあてられぬ。さらに塩化ビニル被覆ケーブルを食い破るので、電線が短絡・溶断を起こし、(電話を不通にしたり、列車を何度も運行停止に追いやるなどの)事故を引き起こす。(森、同書、p194)
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補注 コウモリガの幼虫時代が2年間、というのはこの本で初めて知った。潜入された苗(バッカスで1本)の「表札」を発見していたが、「もうすでに成虫になって飛んでいったろう」と思っていた。が、それは甘かった。明日、しっかり道具を持参して対処しよう。(2016年9月23日追記)
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補注 2016年9月24日/土曜日 追記
ブドウ畑にやってくるコスズメの幼虫にほとほと手を焼いている。この闘いは果てしなく続くかのように、7月からこの9月まで、延々3か月にもなる。常連のヨトウムシ族(ヨトウガ・ハスモンヨトウ・カラスヨトウ)・カブラヤガ・オオタバコガらの幼虫イモムシたちにも葉っぱを囓られ続けている。そしてまたこの一週間は、モンシロドクガの幼虫の大群との小競り合いがリンゴ畑で展開しており、(望ましくないこととは承知しつつも)戦線を拡大しつつある。私たちも精神的肉体的に磨かれつつあるが、敵も多勢かつ多彩多種多芸、オマケに一様に実に大食であり、依然として戦況は厳しい状況である。そこで、この闘いに際して、「敵を知り、己れを知らば・・」という兵法の精神から、重い腰を挙げて勉学を始めた次第である。
行き着く先は、たとえば有機農業の大平さんのような境地、ヨトウムシは益虫・益鳥のエサになりますからそのままにしておいてください、と言えるような境地であることが望ましい。・・望ましいのであるが、そこまで自力で到達するには、多くの月日・年月を必要とするだろう。
さて、この本はとても面白い。文章自体も読んでいて面白い。現在、畑の仕事が忙しくて、自宅に飼育箱を置いてイモムシたちを飼育するほどのゆとりに乏しいが、必要とあらば自分でも飼育して探究してみようか・・というほどの気持ちにフラフラと誘われる。ただし、今は時間的・体力的に目一杯であり、これ以上のことは始めないよう自戒している。
この本では、イモムシたちの魅力を、筆者の思い入れの一杯詰まったユニークな文章で紹介されており、勉強になるし楽しい。私も3歳の頃は、立派な自然の研究者で、イモムシたちの観察にも余念が無かった。
生き物に興味のある方に、この本を推薦したい。
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