2016年6月8日 水曜日 曇り
大村平 改訂版 QC数学のはなし 品質管理を支える統計の初歩 日科技連 2014年(初版は2003年)
大村平 ORのはなし 経営意思決定のテクニック 日科技連 1989年
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相関に付き合うときの注意事項(大村、QCのはなし、p192-195より抄録):
第一は、相関を調べる対象となるデータについてです。
異質なデータを混在させると、相関がないにもかかわらず、相関があるように錯覚することがある。
異質なデータを混在させると、相関があるにもかかわらず、ないように錯覚することがある。
本来は相関がないはずのデータの一部を切り捨てると、にわかに相関が出現する(相関があるように錯覚する)ことがあるので、要注意です。
(一方)本来は相関があるはずのデータの一部を切り捨てると、相関がないように錯覚することがある。
第二としては、2つの変量の間に相関があることと、因果関係があることを、明確に区別していただきたいと申し上げます。
相関というのは、もともと2つの変量の間に直線的な関係が強いか弱いかを数学的に表現する約束ごとにすぎません。そういう観点から言えば、異質なデータが混在しているとか、データの一部が切り捨てられているとか余計な心配をしないで、数学的に計算された相関係数の値で相関の有無や強弱を評価して、いっこうに差し支えないはずです。
けれども、私たちは、暇つぶしのために相関係数を計算するわけではありません。現状を把握したり、その理由を分析して改善策を打ち出したりするために、まず、相関を調べ、相関があれば因果関係があるのではないかと見当をつけ、因果関係についての仮説を立て、それを検証していく・・というのが科学的探究の一般的な道筋でしょう。
したがって、相関は因果関係の発見に重要な手掛かりを与えてくれることが多いのは事実ですが、相関があるからといってストレートに因果関係があると思い込んでは困ります。なぜ相関があるのかを冷めた目で現象的に観察したり判断して、「相関を調べる」という手段を実務に生かしていただきたいと思います。くどいかなぁ・・。
(大村、QCのはなし、p192-195)
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補注:
決してくどくはない。相関を見つけたところで止まって、因果関係を考えることなく、それでわかったと思っている研究者は数多い。また、相関を因果関係と錯覚して誤った迷路に迷い込んでいる研究者も多い。「なぜ相関があるのかを冷めた目で現象的に観察したり判断」していくことが科学をやっていく上で、大切だ。なのに、これができていないことが多いのが現状である・・と、私も(研究の教育の場では)くどいかなぁと反省したいほど頑張って指導してきた。・・が、教育が結果に結びついたかというと、心配である。やはり、依然として「相関を見つけたところで止まって、因果関係を考えることなく、それでわかったと思っている研究者は数多い。また、相関を因果関係と錯覚して誤った迷路に迷い込んでいる研究者も多い」状況なので、どうしても注意を繰り返してしまう。クドいかなぁ。
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