勢至丸・空腹と痛みと孤独に苦しむ地獄の餓鬼

2018年2月15日 木曜日 雪

町田宗鳳 法然の涙 講談社 2010年

これから由緒ある延暦寺で学問を修めようとする自分にはいったい何ができるのだろうか。菩提を開くといっても、世の中ではこれだけ多くの人が、凄まじくも苦しい生き方をしている。たとえ自分が菩提を得たとしても、それがどれだけ人の苦しみに役立つのだろうか。
・・・(中略)・・・
・・あちこちから人々の呻き声が聞こえてくる。
・・それは、空腹と痛みと孤独に苦しむ地獄の餓鬼の声のようにも聞こえた。(町田宗鳳、同書、p63)

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・・羅城門は不審の者が火をつけたために、今は無惨な姿となっておりまする。近来、そのあたりに盗賊が出没し、宮城に出入りする旅人を襲うこともござる。・・・(中略)・・・崩れ落ちた羅城門は、建物そのものが息づく亡霊ででもあるかのように、その一角から黒い煙を上げていた。(町田、同書、p79-80)

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