ESS and The Selfish Gene (2)
Dawkins, The Selfish Gene, Oxford University Press, 30th Anniv. ed., 2006
2015年2月4日 水曜日
ESS に関する考察メモ: Evolutionary stable strategy (ESS)
An evolutionary stable strategy or ESS is defined as a strategy which, if most members of a population adopt it, cannot be bettered by an alternative strategy. (Dawkins, The Selfish Gene, Oxford University Press 2006, p69)
An ESS is a strategy that does well against copies of itself. (ibid., p282)
The Selfish Gene: ポイントは、vehicle としての生物個体(mortal 個体)と、replicator としての gene (immortal な主体)とを区別してとらえること。
単位として、グループではなく、常に個体を考えること。グループ(種族、民族、集団、等々)の単位でまとめて考えてはならない。
ESSの関わる時間の単位は、進化の時間単位である。最短でも何十世代ないし何百世代。ヒトの1000年は40世代ぐらい。だからヒトの場合なら1000年ぐらいを最小単位とすべきだろうか。
よって、生物個体の1世代ないし数世代で安定したり大きく動いたりするような生物個体の行動に関してピンポイントの断面において ESS を適用して考察すべきではないこと。
たとえばある個体の一生のあいだにもカタストロフィーといえるような環境の激変が経験されることもあるであろう。それに際しては各個体はそれぞれの持っている力で精一杯対応して生き続け子孫を残そうとするであろう。次の世代へ移行したとき、このひとつの世代交代では安定した stable 方向へ進まなかったかもしれない。次の世代の個体もその激変した環境の中で生き子孫を残そうとするだろう。そのような個体の自然選択 natural selection の結果が次の世代へそして次の世代へと受け継がれ、最終的には ESS ストラテジーが最初から採用されたのと同じ結果にたどり着くのである。多くの世代を遙かに見通すような大局的視点で眺めれば、環境激変の当初から安定環境にたどりつく現考察時点まで、 ESS ストラテジーが一貫して採用されていたように思われることであろう。
環境の激変以前の ESS と、それ以後の ESS とは、場合によってはある項目において大きく異なっているかもしれない。しかし、環境激変の渦中にいる生物個体にとっては、この環境変化に今持っている能力で対応して生き続け子孫を残そうとすることで精一杯であり、何を獲得し何を残せばこの環境激変に対処するに有利か分かろうはずもない。また、たとえ分かっていても、その力をその個体が持っているかどうかはすでに決まっていて、持っていないものをあとから必要だからといって獲得することはできない。
ただし、ヒトの場合はその限りではない。以下は、ドーキンス氏の本から引用する。
We have the power to defy the selfish genes of our birth and if necessary, the selfish memes of our indoctrination. We can even discuss ways of deliberately cultivating and nurturing pure, disinterested altruism — something that has no place in nature, something that has never existed before in the whole history of the world. We are built as gene machine and cultured as meme machines, but we have the power to turn against creators. we, alone on earth, can rebel against the tyranny of the selfish replicators. (ibid., p201-2)
…genes exert a statistical influence on human behaviour…this influence can be modified, overridden or reversed by other influences. Genes must exert a statistical influence on any behaviour pattern that evolves by natural selection. … And no more is it dualist for me to
advocate rebelling ‘against the tyranny of the selfish replicators’. We, that is our brains, are separate and independent enough from our genes to rebel against them. As already noted, we do so in a small way every time we use contraception. There is no reason why we should not rebel in a large way, too. (ibid., p331-2)
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