culture & history

戦後の保守主義は状況への適応としての側面が強く、保守すべきものの理念は曖昧なままであった。

2021年8月18日 水曜日 朝から降り続く雨

宇野重規 保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで 中公新書 2378 2016年

日本の保守主義

 ・・そもそも、微弱とはいえ戦前の日本の保守主義が、あくまで明治憲法体制を前提に、そこに内包された自由の論理を漸進的に発展させていったのに対し、戦後の保守主義は明確な共通のミッションを欠いたまま、冷戦体制を所与とし、経済発展のみを国家目標に掲げてきた。いわば、戦後の保守主義は状況への適応としての側面が強く、保守すべきものの理念は曖昧なままであった。このことが、そのライバルの社会主義の後退とともに、今日における保守主義の優位とその無内容化をもたらしたのである。そうだとすれば、ますます遠心化を続ける「保守主義の優位」は、保守主義にとって、勝利であるという以上に、危機を意味する。(宇野、同書、p188-189)

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