culture & history

戦闘民族の本性

2022年1月5日 水曜日 曇り

神野正史 「移民」で読み解く世界史 イースト・プレス 2019年

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遊牧民族というのは何千年にもわたってつねに“わずかな資源を奪い合う生き残りを賭けた戦い”の中に身を置いてきた、我々のような“平和ボケ”した日本人になど想像もつかないような厳しい世界を生き抜いてきた者たちです。

ーー弱き者は問答無用で殺され、  

  強き者のみが遺伝子DNAを紡ぐことをゆるされる

そんな“修羅の世界”で生き抜いてきた彼らが、武力にのみ価値を見出す「極端に尚武精神の強い戦闘民族」となっていったのは当然のことと言えます。

そしてそのうちの一派が欧州半島に入植して狩猟民族となっていくと(補註**)、

もともとの「尚武精神」の強い彼らが「日々の糧は狩り(ハンティング)で得るもの」という狩猟民の価値観を取り込んで、

「我々自身が額に汗して働かずとも、欲しいものがあらば武力で奪えばよい。」  

「どうしても労働が必要なら、奴隷を狩り、彼らにやらせればよい。」

・・という価値観を持つようになります。

・・・(中略)・・・

それぞれの民族の寒冷期への対処

・・14世紀以降、ふたたび「寒冷期(イベント0)」が訪れます。

・・・(中略)・・・

・・アジアはもともと豊かな土地柄ですから、寒冷期には寒冷期に合わせた体制改革を行えば、これを凌ぐことも不可能ではありません。  実際、17世紀までに東アジアに明・清帝国、南アジアにムガール帝国、西アジアにオスマン帝国という、その時代に身の丈を合わせた大帝国が君臨して、所謂「帝国の平和」と呼ばれる繁栄期を現出することになります。

  これに対して、ユーラシア草原(ステップ)から欧州半島(狩猟民)にかけては貧しい土地柄でしたから、そのうえに寒冷期が襲ってくると自己完結でこれを乗り切ることは厳しい。

  したがってこれまで、人々は生き残るため、好むと好まざるとにかかわらず棲み慣れた故郷(ふるさと)を棄てざるを得ません。  これが「民族移動」です。

  ・・寒冷期が襲ってきたときに棲み慣れた故郷を棄てて民族移動を起こすのが「遊牧民」や「狩猟民」が多いのはそのためです。

・・・・・(中略)・・・

  しかし、時代は「寒冷期」に突入しており、半島(ヨーロッパ)内からその財源を捻出するのは不可能。

  となれば、「外」から奪うしかない。

  人間というものは追い詰められたとき、隠されていた“本性”が顕れるものですが、彼らの本性は「欲しい物があらば武力で奪えばよい」。(神野、同書、110〜113)

・・・(中略)・・・

  もし彼らがこの“殻”を破る「力」を得たとき、その「武力」は“外界”に向けられ、すさまじい“災厄”となって世界を覆い尽くすことになるでしょう。

  そしてその「力」となったのが「三大発明」でした。(神野、同書、p114)

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移民の法則⑩ 移民は移民先の国と民族と文化を破壊するが、

移民(植民)側が武力において優越しているとき、破壊はさらに凄惨となる。(神野、同書、p116)

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補註** 遊牧民から狩猟民(ヨーロッパ)への推移に関しては、今後、詳しく調べていきたいと考えている。

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