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津山鶴山中のドルーリー vs 津山の赫夜姫:気高さと優美とを兼ねて輝くばかりに思われた。

2023年2月3日 金曜日 晴れ(陽射しのあるモヤッとした曇り)時々雪

山本周五郎 津山の鬼吹雪 新潮文庫『ならぬ堪忍』(オリジナルは昭和13年)より<以下引用>

 ・・なにしろ村瀬道場のお嬢様は、津山の赫夜姫(かぐやひめ)と云われて中国一円から京大坂にまで評判のお方、津山へいらっしゃる御修行のお武家様方が、みんなお目当に遊ばすのも当たり前でございますわ。(山本、同書、p110)

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 ・・その娘の美しさには驚いた。それはただ美しいというだけでなく、気高さと優美とを兼ねて輝くばかりに思われた。 ーーこれが津山の赫夜姫(かぐやひめ)だな。 (山本、同書、p113)

鐸木さんのサイトより <以下引用> https://nikko.us/23/006.html

ウエストランドは津山西中学、ドルーリーは津山市立鶴山中
鶴山中は全校生徒(3学年)200人の学校で、駅伝チームを組むこともできないこじんまりした学校らしい。
ウエストランドがネタにしないかな。

井口「津山に可愛い子なんているわけないだろ」
河本「ドルーリーがいるよ」
井口「う~~ん、あれは国際級だから例外なの。津山にいるのが間違いなの」

父親がカナダ人だそう。
美形だし、才能が飛び抜けているから、これから注目されて大変だろうな。うまく育ってほしい。高校はどこに進むのかな。駅伝の強い学校から引き抜きもあるだろうけど、そんなの相手にせず、今まで通りでいいんじゃないかな。勉強もトップみたいだし、駅伝に片寄った学校に行って歪むより、自分で計画していったほうがいいと思うよ。<以上、引用終わり>

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補註: 注目のドルーリー選手・・私も応援している。そしてまた私は津山東中学校の出身なのである。その学校の場所は私が卒業した後すぐに廃校になってしまったけれど。

 さて、鐸木さんの参考に:

「津山に可愛い子なんているわけないだろ」・・という仮想セリフに対しては50〜100年前から有力な反証がある。私の母が、「美作の国・津山は秋田その他と並ぶ有名な美女の産地」と常々私たちには教えていたのである。母は、津山高校(他にも津山東高校、勝間田高校・久世高校・落合高校など美作各地)などで高校家庭科とくに裁縫の教師として奉職していたので、全学年すべての女子生徒を長年にわたって教えてきた。随分と賢く綺麗な女の子たちが多い、と母はよく語っていた。・・それらを40年も教えていたのだなあ・・と、今日も思い返して、改めて感心する。

 気高さと優美とを兼ねて輝くばかりに思われる・・そんな赫夜姫のような子に会えるのかと、今から51年前の春、15歳の少年の私は希望と期待に胸を膨らませて津山高校の門をくぐったのであった。・・が、今にして思うと、周五郎さんの小説の主人公・吹雪代三郎(後に算得)のように、「本当に強」くなるように鍛える高校時代を過ごせばよかったとつくづく悔やまれるのである。

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 さて、もう一つの反証: 【朗読】津山の鬼吹雪 山本周五郎 読み手 アリア もお聴き下さい。アリアさんによると:「津山の鬼吹雪」(昭和13年)です。太った浪人と痩せた浪人の二人連れが飢えのあまり山賊になろうとする・・・・武家もの・滑稽ものです。(ならぬ堪忍/新潮文庫)

【朗読】津山の鬼吹雪 山本周五郎 読み手 アリア

 ・・罪のない漫画か劇画じみた娯楽読物だが、さすがに戦後の『雨あがる』(昭和26年)や『日々平安』(昭和29年)といった異色作に通底する気配が仄見えて興味深い。(木村久邇典、ならぬ堪忍、新潮文庫版のp354解説より引用)

 補註つづき: 周五郎作品の中では、滑稽話で特に深みは無い作品かもしれません。が、親しみ深い愉快なお話です。 中国一円〜京大坂にも名がとどろいている「津山のかぐや姫」・・「津山に可愛い子がいない」なればこのお話しが成立しない(?)と思います。ので、・・私も、この短篇を読んだ感想として、「美作の国・津山は『美女の有名な産地』・・ということを周五郎さんもよく知っていたのか・・」と感じ入った次第です。

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