2014年4月6日 日曜日
兵士シュヴェイクの大戦前夜 その1
第一次世界大戦がどうして始まったか、すこしでもわかるように歴史書を書いてゆくのはむずかしいことだろう。開戦前夜、たとえば1914年の人々の生き方はどんなものであっただろうか。小さなシリーズとして点描してみたい。
その第一弾は、兵士シュヴェイク。20世紀のサンチョ・パンサとして痛快に活躍する。
オーストリアの皇太子が暗殺された頃、そのオーストリア・ハンガリー帝国の中のプラハの町で暮らしていたのが、この物語の主人公、兵士シュヴェイクだ。その時点では兵士でも従卒でもなく、イヌの売買に関連した一種の職業(イヌドロボウ?)に従事する一般人民であった。市民と言ってもいいのだろうか。選挙権があったのだろうか。知らないことばかり。
作者のハシェクがこの作品を書いたのは大戦後、チェコスロバキアの国ができた頃。ハシェクが亡くなったのが1923年の1月のことなので、1914年の開戦前夜の記憶も古びることなく、この物語の中に生きていることであろう。
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