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明石市独自で全国初のモデルケースになる政策を具体化する。

2024年12月6日 金曜日 雪

泉房穂 社会の変え方 ライツ社 2023年

 ・・もっとも私の場合は、「応援してください」という少し違ったトーンで中央省庁に働きかけてきました。

 明石市独自で全国初のモデルケースになる政策を具体化する。邪魔しないでほしい。

 そうすれば、明石市が自腹でもやり切る。全国のモデルとなるひな型をつくる。

 その代わり国には、明石が始めたグローバルスタンダードの施策を全国の自治体ができるよう、責任を持って全国に広げてほしい。できれば国で安定的、継続的に実施してほしい。そう言い続けてきました。(泉、同書、p317)

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 ・・市長であれ、何であれ、冷たい社会をやさしくしていきたいとの思いは変わりません。社会がやさしくなるまで、命ある限り私の復讐は続きます。

 振り返り

 振り返ってみると、私が厳しい態度をとったり、怒りの矛先を向けたりするのは、基本的に政治家、公務員、マスコミだと自分でも感じています。

 理由は、期待が大きいからです。

 社会的な立場がある者には、しっかり役割を果たしてほしいという強い期待を常に抱いています。とりわけ政治家や公務員は税金で給料をもらっている「公の立場」ですから、国民・市民のためにベストを尽くすべき、使命と責任があるとの認識です。

 それなのに期待に反して、その仕事ぶりに疑問があれば、怒りが沸いてくる。常日頃から国民・市民のために働く政治家であってほしいと願い、市民のために尽くすことが公務員にとっても誇りになるだろうと信じています。

 マスコミは税金が給料ではないですが、「社会的意義」というものがある立場だと思っています。ですから、もっとちゃんと取材するべきだ、もっと背景事情も含めて事実を正しく報道するべきだと、つい厳しい見方になりがちです。

 私の厳しさは過度な期待の裏返しなのかもしれません。(泉、同書、p359-360)

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 補註: 私(=補註者)も、三十数年にわたり、熱血研究者として研究に携わり指揮してきた過去を持つ。なので泉(明石市長)さんの気持ちに共鳴する。私の頃はパワハラなどという言葉が流通していなかった時期であったが、振り返ると、過度な期待のために多くの方々に厳し過ぎる接し方もあったかと思う。目的や目標を持って仕事に従事することの重責に押し潰されそうな、しんどい日々の連続であった。一昔前の過去になってしまった日々ではあるが、少なからぬ人々に対して、辛い思いにさせたりご迷惑をおかけしたりしたことを真摯に謝罪したい。 また一方で、現在、私たちが今まで40年もの月日を費やしてコツコツと積み上げてきた仕事の成果が「くすり」(癌に対する抗体医薬)として(米欧日で、漸くもう少しで)承認される運びとなりそうであることを報告したい。いろいろな局面でいっしょに働いた同士の方々とその認可の日の喜びを分かち合うことができたらどんなに幸せなことだろうかと思う。(補註終わり)

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 ・・ですが、前回暴言で辞職したときは、道半ばで無念の思いが強くありました。あんな状況にもかかわらず市民から「もう一度がんばれ」と言われたからこそ、復活してからはブレーキをかけた安全運転ではなく、むしろアクセルを踏み込み、「市民のために」をさらに加速してきました。

 議会に忖度するのではなく、「戻ってきてくれ」と期待してくれた市民に対してベストを尽くす。議会との対立は激化しましたが、まずいことをしたとは思いません。(泉、同書、p348)

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 地方自治体は「二元代表制」。「市長」と「議会」が対立することは、あらかじめ想定されています。ただ意見の相違が、市民のため、まちのためであってこそ歩み寄ることもできますが、向いている方向がまるで違うと、正直しんどい状況に陥らざるをえません。(泉、同書、p360)

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