culture & history

暴力を振るう民族が戦争に勝って繁栄し尊敬される歴史

2016年6月27日 月曜日 晴れ

武田邦彦 ナポレオンと東条英機 ベスト新書 KKベストセラーズ 2016年

残念ながら、人間は口では「戦争はしないほうが良い」とか「弱いものを大切に」と言いますが、実際には暴力を振るう民族のほうが戦争に勝って繁栄し、尊敬されるという歴史でした。かつてカスピ海の付近に住んでいた一つの民族だった戦争ばかりしているアーリア人(補注*参照)が、ヨーロッパ、中東、ロシア、シベリアという広大な地域を支配していますが、戦争をしないアイヌ人は滅びる寸前です。  人類の歴史はこのようにまだ「暴力の強いものが上に立つ」という段階にいます。だから15世紀からヨーロッパの白人が有色人種の土地に進出すると、肌の色によって人種を差別するという概念が生まれます。もっとも下位には黒人が、その上に黄色人種が位置づけられ、黒人は白人の奴隷に、黄色人種は召使いになりました。(武田、同書、p138)

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補注* アーリア人という名称について
「アーリア人」を自称していた民族は、本来は、ある特定の時代のペルシア(イラン)系の民族である。(参考文献:青木健 アーリア人 講談社選書メチエ、2009年)青木氏のこの本の中では、ヒットラーによる「野蛮なアーリア人」という、「アーリア人」という呼称の誤用の始まりが指摘されている。武田さんはむしろこの誤用のほうに近い意味で「アーリア人」という言葉をお使いになっている。私見ではあるが、「アーリア人」という用語使用の混乱を招かないためにも、「15世紀からヨーロッパの白人が有色人種の土地に進出」・・この侵略を進めた人々の集団を、古代の「アーリア人」とは区別して別の呼称で呼んだほうがよいと思う。藤永茂さんがおっしゃっているように、(地理的に異なっている)アメリカ人や(人種的・肌の色では異なっているが彼らに政治的・精神的に与する)他民族をも含めて広い意味で「ヨーロッパ人(あるいはヨーロッパ精神)」と呼称するとよいのではないかと考えている。もちろん「ヨーロッパ人(あるいはヨーロッパ精神)」という呼称も紛れを生みやすいので、より相応しい日本語の表現を見つけられれば、それと差し替えたいと思う。

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