統計のはなし

大村平 統計のはなし 基礎・応用・娯楽 日科技連 改訂版・平成13年(初版は昭和44年)

2015年2月22日 日曜日 曇り

大村平 統計のはなし、土曜日から始めて、本日で読了。確率本と同じく、すでにある程度の素養のある人であれば閾は低くあっという間に読めてしまうはずである。が、今回私はじっくりしっかり読んでいく必要があった。

これはりっぱな統計入門書だ。たとえば、4章の「ばらつきの法則:正規分布のはなし」では、正規分布の加法性に関して、具体的な事例を挙げながらゆっくり説明されていて、これならだれでも「わかった!」と確信しながら初歩の基盤を築いてゆける。

 5章も丁寧な一章だ。「見本で全体を推計する その1.標準偏差がわかっているとき」として、母集団の標準偏差がすでにわかっている場合(実際にはこういう場合はほとんどないのだが)、
 
 一つの見本で何がわかるか という節を設けて、
  不偏推定値、区間推定、信頼区間、信頼水準などの言葉の意味が説明される。
 
ついで、次の節が、二つの見本で何がわかるか。
  前の章で詳しく理解した正規分布の加法性がここで生きてくる。

 ついで、次の節が、n個の見本で何がわかるか。
  ここまで丁寧に説明してあれば、
「n個の標本の平均値」の平均値は μ
「n個の標本の平均値」の標準偏差は σ/√n 
  であることがスムーズに理解される。

ここまで丁寧な統計入門書は、本書に出会うまで見たことがなかった。

そしていよいよ6章、その2.標準偏差がわかていないとき 見本で全体を推定する へと進む。

標本標準偏差 s のほうが 母標準偏差 σ より小さくなる傾向があり、その傾向はデータの数が少ないほど著しいことが丁寧に説明される。「なにしろ、s を計算していく過程を見ると、s がもっとも小さくなるように標本が勝手に自分達だけで平均値を決めてやっているのですから・・・」(本書、p110)

ついで、標準偏差を推定する 節で、水増し係数表を用いて行う母標準偏差の不偏推定。

次の節で、標本の中の最大の値と最小の値の差、つまりレンジ(range)と割引き係数表を用いて、簡単に不偏推定値を求める方法。

当然の疑問として・・・
水増し係数で修正した値と、割引き係数で補正した値とが、互いに推理の仕方が異なっているために結論が同じにはならないことを説明。「推理の方法が異なると差ができるのは推理に誤差があるから」を示すイラスト付き。(本書、p115)

 n が増えても推定の精度がほとんど良くならないので、n を増やすのは有利ではありません。(本書、p115)確かに割引き係数表をみればその辺の事情が良く理解できる。この本は実に親切だ。

t分布、そしてついにt分布表を用いて標本平均と標本標準偏差の値から母集団の母平均 μ を 〜% の確率で ##〜&& の間にあると推定できるところまで到達する。(同書、p120-4)説明の道のりは長いけれども、丁寧だから道に迷うことがない。

7章は検定のはなし。両側検定、片側検定。t分布を利用したt検定。

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