culture & history

歌が生まれるには

2019年6月30日 日曜日 曇り(雨降らず、蒸し暑い)

辻邦生 西行花伝 新潮社  1995年

「歌が生まれるには」と西行は独りごとのように言った。「たとえ世の中の不安に脅かされても、それを、こちらが乗りこえていなければならないのだ。ところが、今は反対だ。世の不安のほうが大きくなり、それがすっぽり人々を包み込んでいる。歌が生まれないのはそのためだ。・・この世の勝敗(かちまけ)だけがすべてだと誰もが考えるようになっているからだろう。だから、人々は敗けてはならぬと必死なのだ。歌も遊びも、実は、勝敗(かちまけ)など、この世のことなど、どうでもいいと思い定めたところから始まるのだが。・・この世のことを超え出ない以上、歌は生まれることはない。別の言葉で言えば、負けた者が、負けたことを大らかに受け入れ、負け惜しみなどでなく、朗らかにその宿命(さだめ)に遊べば、そのとき歌が生まれるのだ。」私(=寂然)には、西行が讃岐の新院(=のちの崇徳院)のことを言っているのだとすぐ分かった。(辻、同書、p383)

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崇徳院・ウィキペディアより。

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待賢門院璋子・ウィキペディアより

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