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増加する回避型愛着スタイル

2020年2月4日 火曜日 晴れ

岡田尊志 ネオサピエンス 回避型人類の登場 文藝春秋 2019年

増加し続ける回避型愛着スタイル

・・アメリカでは、・・2000年代以降も、さらに回避型が増え続けるという変化の背景には、家庭環境や家族関係の変化以外に、別の環境要因が影響していると考えられる。

情報革命のインパクト

そこで浮かびあがるのが、情報環境の激変である。・・次々と登場したデバイスやサービスは、より高い情報集積度と利便性によって、人々の生活を一変させてしまった。長時間、それらの情報機器に耽溺することは、対面コミュニケーションの機会を奪い、偏った神経回路ばかりを酷使することで、脳機能の低下のみならず、社会性・共感性の低下を引き起こすことが明らかとなっている。

集団レベルでの影響

・・もし環境が、回避型に有利な方向に急速に変化し、そうした特性をもつ人が伴侶として選ばれる機会が増え、子孫を残しやすくなると、ある集団に占める回避型の割合は高くなっていく。高度に発達したテクノロジーの支配する環境に適応力をもつのは、人間よりも物や技術に親和性をもつ特性だろう。その有利な遺伝子が、回避型の増加をもたらしているのかもしれない。

だとすると、回避型は環境に適応できない敗者ではなく、環境に選ばれ、進化の先頭を行く勝者だということになる。(岡田、同書、p42~45)

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補註: 本書では未来予測のSF的な記載が多く、それなりに(つまり近未来のSFとして)楽しんで読むことができた。が、できることなら、精神科医としての岡田尊志さんご自身の臨床からの知見に基づいた事例紹介を主体に論を進めていただければ、一層ありがたかったのにと感じている。

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