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フランス王朝史:伯の独立とカペー朝の始まり

2022年10月1日 土曜日 晴れ

佐藤賢一 カペー朝 フランス王朝史1 講談社現代新書2005 2009年

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ヴェルダン条約とメルセン条約

・・ゲルマン民族、わけてもフランク人の感覚では、王国といえども親から子へ受け継がれるべき相続財産にすぎなかった。有り体にいえば実入りのある不動産なのであり、息子が複数いれば複数に分けることに、さほどの抵抗もなかったのだ。(佐藤、同書、p10-11)

補註: ゲルマン民族の「王」ないし「王国」と、わが日本の天皇ないし日本国とは、その「感覚」を大きく異にすることを銘記したい。ゲルマン民族ないしフランク王国の「王朝」の歴史が語られる際に、一般の人民(ひゃくせい=百姓)とその暮らしが語られることがほとんどないことに注意したい。補註終わり。

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伯の独立

・・それはポスト・シャルルマーニュの国政混乱だった。(佐藤、同書、p30)

・・伯も最初は地方に派遣された高級官僚にすぎなかった。これが役職を世襲しながら任地に土着して、カロリング王家の求心力後退に乗じると、いよいよ自立的な勢力に成長していく。・・地域の年貢を私物化し、・・地域の問題を勝手に裁き、いうところの「公権力」を手中にして、それぞれに小さな独立国をなしたのである。(佐藤、同書、p32)

・・実力本位で盤踞できるものなら、誰を君主と仰ぐ必要もないようなものだが、そう強気一点張りで行けるとは限らない。さらに実力ある誰かに攻められるかもしれないと弱気になれば、その土地を自分が支配できる大義名分を、どこかから引き出してこなければならない。 かかる正統性の源こそが王だった。・・かたわら、つきつめたところの王に権威を与えるのが、血筋でなければ神の後光である。戴冠式に聖職者が幅を利かせるのは、そのためである。こちらのお歴々にも王は気を遣わなければならない。 いえばいうほど、王など損なばかりである。この厄介から逃げ続けた大ユーグの息子として、ユーグ・カペーも始めから王位に野心を抱いていたわけではなかった。それはルイ五世の予期せぬ急死というハプニングに乗じた、いわば棚から牡丹餅式の登位だったのである。(佐藤、同書、p34)

冴えない始祖: ユーグ・カペー

・・実力の論理で王位に就いたものが、血統の論理を主張するわけにはいかない。苦肉の策が、生前に共同統治者とすることで、死後にも滞りなく王位が継承されるように計らう方法だった。・・・(中略)・・・ユーグ・カペーが息子のロベールのために、オルレアンのサント・クロワ大聖堂で強引な戴冠を実現したのは、987年12月25日、キリスト生誕祭のことだった。 自らの即位から半年しかおかない、まさに速攻である。ここに単なる幸運と偶然の産物でない、意図された事業としての王朝が開始される。その実は無政府状態で、ばらばらに崩壊しかけている西フランク王国を、新時代のフランス王国として力強く再生させる偉業の幕開けでもある。(佐藤、同書、p40)

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補註: ウィキペディアによると・・・<以下引用> ロベール家の出身でフランスのカペー朝を開いた。フランス王(在位:987年 – 996年)。年幼くして家督を相続した当初はその力量からロベール家領の多くを失ったが、カロリング朝が断絶したことにより王位を継承、彼の子孫はしだいに勢力を回復した。以後ヴァロワ朝からブルボン朝へと男系で血統を繋げ、フランス革命からナポレオンの時代を除いた七月王政まで、800年以上フランスの王権を保った。史家の多くはこのユーグ・カペーの王位継承をもってフランク王国が終わりフランス王国が始まったと解釈している。引用終わり。

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ノートルダム大聖堂

ランスReims[ʁɛ̃s] ( 音声ファイル))ウィキペディアによると・・・

人口は約18万人規模(2013年)の都市であり、フランスでは12番目に大きい。 かつてフランス歴代国王の聖別戴冠式が行われた「ノートルダム大聖堂」が所在する。「戴冠の都市(la cité des sacres)」または「王たちの都市(la cité des rois)」とも呼ばれる。 また、数多くの有名なシャンパン・メゾン(メーカー)が拠点を置いている。由緒ある都市の地下には、総延長120キロに及ぶワイン貯蔵庫・カーヴが縦横に張り巡らされているなど、シャンパン醸造の一大中心地でもある。街のランドマークとなる、ノートルダム大聖堂、トー宮殿、サン・レミ聖堂などは、ユネスコの世界遺産にも登録されている。 中でも、15世紀にジャンヌ・ダルクがシャルル7世を戴冠式に導いたノートルダム大聖堂には、毎年約150万人の観光客が訪れている。<以上、引用終わり>

Reims_Basilique_St_Remi_07

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