2023年3月19日 日曜日 晴れ
渡部昇一の古事記 WAC 2012年
弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)が辞世にこめた思い
さねさし 相模(さがむ)の小野(をの)に 燃ゆる火の 火中(ほなか)に立ちて 問ひし君はも
・・これが日本人の辞世のはじめとされるものである。そしてこれが女性によって作られ、しかも愛の歌であるところが目ざましいと言うべきであろう。(渡部、同書、p241)

**
戦争に行く男を見送る女のまなざし
・・戦争に行く男を見送る女のまなざしーーこれこそ戦後すっかりなくなったものの第一に数えてよいであろう。当時、婚約者や夫を戦場に送って、二度と再び会う機会を持たなかった婦人たちは、いまでもその男たちの面影を忘れ難く貴いものとして胸の中にしまいこんでいるものらしい。 「あんな立派な男性には二度と会ったことはありません」と言う婦人を二、三人知っているが、もしその男が無事帰って来たら、彼女たちも幻滅した二ちがいない。これは客観的に正確に言えば、「あの時のような憧憬をもって男を見ることは、その後二度とありませんでした」となるはずである。(渡部、同書、p238)
**
*****
*********************************