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昌益:生活体のもつ自然の摂理を重んずるところが起点

2016年1月13日 水曜日 晴れ

白川静 狂字論 文字遊心 平凡社ライブラリー1359 1996年

(昌益は)体制を「法(こしらへ)」とよび、「儒者聖賢は・・・・私偽の法(こしらへ)を為(つく)り、耕さず貪食・・・乱惑の根始なり」「不耕の者、凡て国の虱(しらみ)なり」と朱子学下の武家の体制を痛罵している。一夫一婦・万民耕食の主張は、いくらか康有為の大同の思想と似たところもあるが、昌益の思想は、医家としての自己の経験から、生活体のもつ自然の摂理を重んずるところに、その起点があったようである。もしかれが秋田のような僻地を出て、李卓吾のように四方に遊んでその道を説いたならば、その思想は燎原の炬火ともなるべき要因をもつものであった。(白川、同書、p130)

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補注: 炬火 きょか たいまつ
cf 炬 キョ コ ひ たいまつ(白川、字通、p302)

「法(こしらへ)」:白川さんのいうノモス。

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